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□とっておきの日
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「けぇぇぇぇぇごぉぉぉぉぉぉ!!!」
「げ、」
猛獣と化した女子たちの群れを掻い潜り、こそこそ隠れながら生徒会室に逃げ込もうとしていた最中、後ろから不穏な音が聞こえてきた。
気付いたときにはもう遅い。
満面の笑みでダイブしてきたバカ(と言う名の忍足)を受け止めるしかなかった。
「えへへ、お誕生日おめでと!」
「アリガトウゴザイマス」
「熱い抱擁してくれるなんて、ロマンチックやね!景吾!」
「お前頼むから静かにしてくれ!」
折角猛獣どもから逃げ切れたと言うのに、大声出したらバレちまうだろうが!
そんな苦労を微塵もわからないバカは、キョトンとした顔で俺を見つめる。
「なんで?」
「何でって…、お前、あの猛獣の群れに居場所バレるだろうが」
マジで怖いんだぞ、アイツ等。
おめでとうございますと口では祝いの言葉を言ってるが、目が血走っててマジ怖い。
そして我先にとプレゼント攻撃してくるからな。
アイツ等ホントに俺のこと祝う気あんのか?
今朝からの戦況に背筋を凍らせていると、何を思ったのか忍足が目をキラキラ輝かせ始めた。
「それって俺と二人っきりになりたいってこと!?」
「は?」
「やって、女子たちにバレたくないんやろ?俺と二人っきりがえぇんやろ!?」
「イヤ全然違うんですけど」
「景吾俺のこと好きやもんな!」
「聞いちゃいねーよ」
もうイイや面倒くさい。
猛獣よりもバカの方が幾分マシだ。
「……今から生徒会室行くけど、お前も来るか?」
「景吾とならどこでもえぇよ!一緒にお祝いしよな!」
「……おう、サンキュ」
フニャフニャの笑顔を向けられたら、不覚にもホッとしてしまった。
ホント不覚だけど。
でも、まぁ、
「(何だかんだ言って癒されてるんだよな…)」
「ん?何か言うた?」
「別に」
認めるのが悔しくて、柔らかい頬を摘まんでやった。
FIN
ツンデレ×電波ちゃんでした