□
□全部お前のせい
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イライラする。
それでなくても自分の誕生日なんて、女の末恐ろしさを目の当たりにするだけの日なんだ。
祝ってくれるのはありがたいのだが、あんな地獄絵図にでも出てきそうな形相で迫ってこられても恐怖しか抱けない。
それも大量の数で来られるのだから。
「で、それがイライラと何の関係があんだよ?」
昼休み。
恐怖の女子集団から逃れて生徒会室に駆け込んだ俺、と何故か一緒に逃げ回っていたジローは、ソファーで束の間の休息を取っていた。
俺の膝を枕代わりにしていたジローが、眠たげにこちらを見上げている。
「だから、あの末恐ろしい集団に追いかけ回されてたからだって言ってんだろ」
「……ふーん?」
含み笑いを浮かべて俺を見るジローに更に苛立ちが湧く。
何だかからかわれている感じがあってならない。
「何だよ言いたいことがあるならハッキリ言え」
「別にー?女どもに追われて逃げまくるなんて毎度のことなのに、何で今更ー?って思っただけだC」
「うるせーな。その間延びした喋り方やめろムカつく」
「うわ、八つ当たりするなよなー」
ギロッとジローを睨むが、苦笑されるだけ。
コイツには昔から何をしても効かない。
効果が得られるのは本気で怒ったときくらいである。
「跡部くんは素直じゃないからなぁ。ホントは別にあるだろ?イライラしてる理由」
「うるせーもう喋んなお前」
ニヤニヤしてるその笑顔は、もう苛立ちを超えて一種の爽快さすら感じさせる。
あからさまに顰め面をしてもどこ吹く風。
嘲笑う顔をやめない。
コイツは人を腹立たせる天才である。
「何だかんだ言って好きだよな、オメー」
「忍足は関係ねーよ」
「誰も忍足だなんて言ってねーけど?」
「………」
ハメやがったな、コイツ。
してやったりな顔をするジローに頭が痛くなった。
「今日、忍足休んでるもんなー」
「……フン」
「折角の誕生日なのに会えなくて残念なんだろ?跡部くんは寂しがり屋だもんね」
「………」
もう相手にするのも面倒くさくて、無視して窓から見える景色を眺める。
ジローは小さく溜め息を吐き、のそりと起き上がった。
「そんな跡部くんにとっておきの情報をあげよう」
「アーン?」
振り向くと、悪戯っ子のような笑みを浮かべているジローがいた。
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