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「メリークリスマス」
「……メリー、クリスマス…」
目の前にあるのは先日想いが通じ合ったばかりの跡部の姿。
こんな日が来るなんて、夢にも思わなかった。
【true1.5】
「ふふふ」
「……んだよ」
不機嫌丸出しな跡部に思わず笑いが零れてしまう。
眉間に皺を寄せて更に機嫌を損ねさせてしまったが、しょうがない。
だって嬉しくて仕方ないのだ。
ただひたすらに跡部を想うしかなかった日々。
次々に女の子を変えて、取っ替え引っ替えに遊んでいた彼を黙って見つめる事しか出来なかった日々。
辛くて悲しくて涙を流す日も少なくなかった。
けれど今は違う。
叶う事ないと諦めまで感じていたこの想いが報われたのだ。
不安が全くない訳ではない。
でも今は不安より幸せが勝っていた。
「折角のクリスマスやで?もっと楽しもうや」
「正確にはイヴだけどな」
「どっちでもえぇやん。イベントには変わりないんやし」
「……フン」
乾杯、とノンアルコールのシャンパンが入ったグラスを交わす。
渋々ながらも跡部は応じてくれた。
今日はクリスマスイヴ。
終業式があった今日の部活終了後、人混みが嫌いだと渋る跡部を無理矢理連行して、駅前にある大きなクリスマスツリーを見に行った。
昨日の今日な為、流石に豪勢にレストランで食事は無理なので、俺の家で細やかなクリスマス(イヴ)パーティーになった。
手料理と、ツリーを見に行った帰りに買ったケーキまで付けて振る舞う。
以前クリスマスが嫌いだと話していた跡部だが、こうやってイベント好きな俺に付き合ってくれるという事は、自惚れても良いんだろうか?
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