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それほど広くはない部屋の窓から、外を見た。
煌びやかなイルミネーションの中、忙しなく行き交う人々。
この時期になると、街はクリスマス一色になる。
アホくさ。
誰にという訳でもなく、小馬鹿にするように小さく笑い、床に散らばった服を拾って着始めた。
【true】
「景吾、もう帰るの…?」
制服のワイシャツを着ていると、ベッドで寝ていた女が気だるそうに声を掛けた。
「あぁ」
「……もう少し傍にいてよぉ」
甘えるような猫なで声に、上目遣い。
ウザい事この上ない。
ここはラブホテルの一室。
こんな所でヤる事なんて一つしかなく、俺らは先ほどまでベッドの上で一汗かいたばかりだった。
「ねぇ〜?景吾ぉ」
首に絡んできた腕を邪険に振り払った。
キャッと言いながら倒れ込んだ女を、冷たく見下ろす。
「触るな、ウゼェ」
「なっ…!か、彼女に向かってそんな「誰が彼女だって?」
「……え?」
驚愕の表情で俺を見上げる女。
え、何コイツ本気で俺の彼女だと思ってたのかよ。
「悪いがお前を彼女にした覚えはない」
「だ、だって抱いてくれた「んな奴腐る程いる。一回抱いてやったくらいで勘違いすんじゃねぇよ。つうかお前誰?」
名前も知らねぇ奴を彼女にするか。
只の性欲処理だし。
「……最低っ!!」
そう叫ぶや否や、平手打ちが飛んでくる。
着替えもそこそこに、女は部屋から早々と去って行った。
「……って〜…」
あのクソ女。
思いっきり殴りやがって。
溜め息を吐き、再び着替えを再開した。
気分は最悪だ。
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