□おたんじょうび
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プルルルルル…


「ハイハイハイハイ。今出ますよ」


只今朝の5時。
こんな非常識な時間に電話を寄越す奴を恨みつつ、仕方なく電話に出る。
元々低血圧な俺は今最高潮に機嫌が悪い。
侑士は起きてないみたいだな。
こんなけたたましく鳴っている電話の音でも全然目を覚まさないなんて、正直羨ましい。
俺は些細な音でも目を覚しちまうからな。

電話の前に立ち、受話器を取る。


数秒後、俺は激しく後悔した。










【おたんじょうび】










「もしもし、跡部です」

『あ、景ちゃん!元気?愛されママでぇ〜す!』


ガチャン

うん。
今のはきっと幻聴だ。
何かの聞き間違いだ。
疲れてるのかもしれない。
最近立て続けに締め切りに追われてたし。
流石に4つも連載を掛け持ちするのは不味かったのかもしれねぇな。
反省反省。

さて、また一眠りするか。


プルルルル…


あ?
また電話の音が聞こえるような…

イヤ。
気のせいだろ。
関わらない方が得策だ。
取らない方が身のためだ。
無視無視。


プルルルルプルルル…


取らねぇぞ。
絶対ぇ取らねぇからな。


プルルルプルルルルプルルルル…


しつけぇな。
いい加減諦めろ。


プルルルプルルルルプルルルプルルルルプルルプルルルプルルプルルルルプルルル…


だぁ〜!
分かった!分かったよ!
取れば良いんだろ、取れば…!



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