こっそり。

□ココにいる。
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「聞いてくれ土方。この間エリザベスがな……」
歌舞伎町を歩きながら桂が夢中で話している。
「へー…」
(ったくなんであんな化け物の話聞かなきゃなんねぇんだ…)
土方は、いつも一方的に繰り返される桂のくだらない話にうんざりしていた。
「オイ。まだ何も話してないぞっ!!人の話を聞け!!この芋侍がッ!!」
「テメッ誰が芋侍だ!!あぁッ!!」
「…」
土方は桂の胸ぐらを掴みかかるが、桂は冷めた目で土方を見据えている。
土方は深いため息をついて自分を落ち着かせた。
(せっかく2人で居るのにこんなバカバカしいコトで…まぁ元はと言えば話を聞かなかった俺が悪い。)
「・・・悪かった・・・。」
土方は、ふてくされた様子で桂の胸ぐらから手を離すと、伏し目がちに進行方向へ向き直し、銜えた煙草に手を添えて歩きだした。

「何だ今日はやけに素直だな。」
「うるせー。」
桂はうっすら笑みを浮かべ、土方の少し後ろを歩きだした。
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