黒子のバスケ
□赤黒
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初めて出会ったあの日、彼は僕の世界に光を与えてくれた
様々な色をくれた彼を神様の様にすら思えて気付いたら、恋をしていた
「お伽話みたいですね」
「何がだ?」
壁に背中を預け肩が触れる距離に居る赤司くんが首を傾げた
彼にしては幼いその行動に思わず笑みがこぼれた
「神様に恋をして恋人になる一般人の話です」
神様は赤司くん、一般人は僕です。と指をさしながら付け足して言えば赤司くんは眉根を寄せてしまった
明らかに不機嫌そうにするから、僕も眉を下げて笑った
「僕が神様なら、な」
「僕にとって赤司くんは神様ですよ」
「僕は普通の人間だよ」
本に栞を挟みながら呆れたように言う赤司くんの手が毛布に隠れている僕の手と触れて、重なった
付き合ってから知ったことはたくさんあって、案外子供みたいでくっつきたがりな彼
「現に今テツヤとキスをしたいと俗な事を考えているよ」
「ああ、確かに神様はそういうこと考えなさそうです」
「だから、僕もどこにでもいる普通の男だよ」
目を細めて笑う赤司くんが毛布の中で指を絡めてきた
愛おしそうに慈しむようにこちらを見つめるから、ぼんっと頬が熱を持った
それを見た赤司くんが笑い出した
「笑わないでください」
「すまない、あまりにも可愛くてな」
まだ少しだけ笑っている彼の手が髪を撫で前髪をかき分けた
ちゅっと可愛らしい音を立てて額にキスが落ちる
にこにこと笑って赤司くんはまた本に目を向けてしまって、相変わらず熱を持った頬のままそこを手で抑えることしか僕には出来なかった
ちょっと卑怯すぎやしませんか
(そんなに僕を好きにさせて)
(どうしたいんですか、まったく)