銀魂小説/パロディ
□迷子(神威編)
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なんだかよく判らない気持ちにつれ、仕事をほうってお侍さんが住む万事屋銀ちゃんという場所に来ていた。
ぼーっと建物を見ているとふと声を掛けられる。
「バカ兄貴、なにしてるネ」
自分と同じ桃の髪の毛
紛れもなく弱いバカ妹の神楽だ。
「そういう、俺のバカな妹こそ何してるのカナ」
自分をバカと言う相手にバカという言葉を返す。
最初にバカと言った方がバカ
確かアホ提督が言っていたから
「ただ、定春の散歩に行こうとしただけアル。さっさとココから離れるヨロシ、気分は最悪ネ」
そう言って傘を突き出して来る。
弱いクセに噛みついてくるバカな妹…
勝てやしないクセに
戦う興味すら持てない
「黙っててヨ、俺はアンタみたいな弱者なんかより強者が好きなんだ。戦う価値もないヨ、それでも戦うって言うならしょうがないから相手してあげるヨ」
まぁ、お侍さんに会うまでの暇つぶし程度にはなるかな…
そう思いつつ、イヤミな程の余裕の満面の笑みを相手へ見せつける。
「………………、やっぱやらないアル。ココでそんなことしたらタダの近所迷惑になりかねないネ…。銀ちゃんにも迷惑掛けるアル」
傘を取り出した瞬間、バカ妹はあっさり傘を下ろして真っ白な巨大犬と共に何処かへ去ってしまった。
「あり…?」
予想外の反応で間抜けた声が漏れる。
銀ちゃん…ああ、お侍さんのことか
と後々気づく。
自分も興味が湧いた相手、そして銀髪のお侍さんによって変わった妹。
戦いたいが為のはずだったのに、なんだか違うような気もしてきた。
「もうわけが判らないや…」
気づけばそう呟いていた。
ただ判ることは1つ、お侍さんは自分の判らないなにかを知っていて近くに居れば何かを学べること。
「仕方ないや、お侍さんに会ってから帰ろ…」
会ったとして、やるのは殺り合いではなく…。たわいもない会話
気持ちに迷子になっても、きっと答えは見えるはず。何故か気分がそう告げていた。