私は奈落の造りもの

□18.冥道残月破
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死神鬼と戦ったのは鉄砕牙だという事実から考えられることは1つ…




「天生牙は鉄砕牙の…」

「黙れ!!!!!!!」




殺生丸の怒号が響き、驚いた蓮香は思わず肩を揺らした。

完全に冷静さを無くしている殺生丸を心配げに見つめるが、殺生丸に考えられる余裕も無い。




「貴様のおやじはわしから冥道残月破を奪い取ったものの…もてあましたのだろう。

だから、鉄砕牙から切り離した。そしてそのいらない技を受け継いだのが…殺生丸、貴様の天生牙だ!」




遂に秘密を知り、殺生丸は立ち竦んだ。

死神鬼の口ぶりからして何となくは感づいていた筈なのに、やはり言葉で伝えられると途端に心を様々な感情が支配する。



何故だー…

鉄砕牙の結界にはばまれ、
触れることも許されず、

武器ではない癒やしの刀として天生牙を与えられー


唯一得た技、冥道残月破が…




「鉄砕牙の一部にすぎぬ天生牙からは、完全なる冥道残月破は放てんのだ。どれほど鍛えてもな!」


一方、動かなくなった殺生丸に駆け寄ろうと羽から飛び降りた蓮香。

殺生丸に死神鬼の冥道が迫ると知るやいなや、殺生丸に向かって走り、大きな体に体当たりして直撃を防いだ。

固い岩場に殺生丸と倒れ込み、冥道せいで崩れた小さな岩の破片から身を守る。




「殺生丸、大丈夫なの?」



蓮香が案じる声すらも耳を貸さず、さっさと立ち上がって天生牙を片手に死神鬼に向き直る。

再び向かって以降としているのだろうが、武器である天生牙を鞘に収めてしまった。

一体どうするつもりなのか。

まだ地面に座り込んだまま立ち上がらない蓮香に「下がっていろ」と一言残し、地を蹴った。

武器として構えるのは…強力な妖毒を持つ爪である。




「素手!?…お願いだから、無茶をしないで」




確かに聞こえている筈だが、殺生丸は向かっていくのをやめる事は頭に無いらしく、そのまま向かっていく。

蓮香が殺生丸の向こうに見える死神鬼の表情に笑顔を見つけたとき、何か起こると察したものの時すでに遅く…

死神鬼は一度に沢山の冥道を放った。




「殺生丸ッ!!!!!!!」




蓮香が叫び声をあげたが、殺生丸は難なく交わしていく。



天生牙は鉄砕牙から切り放されたいらない部分…

なぜだ…

父上、なぜこの殺生丸を…


多くの疑問のせいで心をかき乱したまま死神鬼に向かい、鋭い爪で死神鬼を狙う。

何度も多数の冥道にかこまれながら、ギリギリの所を避けて少しずつ死神鬼へと距離をつめる。

 
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