私は奈落の造りもの
□11.最期の風
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食料調達に出かけたりんと邪見を置いてきぼりにし、蓮香は殺生丸に抱かれて空を飛んでいた。
風を斬る音が耳元でゴーゴーと響き、殺生丸が飛ぶ速さを物語っている。
蓮香は殺生丸の首に腕を絡ませ、殺生丸の顔を見上げると小首を傾げた。
「何かあった?」
「いずれわかる」
殺生丸の答えに満足しない蓮香は不満そうに顔を歪めたが、殺生丸は教えてくれない。
今教えれば蓮香が冷静さを失い兼ねないことだからだ。
できることなら、蓮香の泣き顔は見たくない。
「あともう少しで着く」
「うん…」