私は奈落の造りもの
□11.最期の風
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邪見も暑さから復活し、旅を再会させてから間もなく。
蓮香を連れた殺生丸一行は平坦な道を永遠と歩き続けていた。
「邪見様〜♪邪見様〜♪どーして緑なのー?」
「えぇい!うるさい!」
「邪見…」
「何でございましょう。殺生丸様」
「お前がうるさい」
邪見はりんを恨めしそうに睨みながら阿吽の手綱を引くが、りんと蓮香は何ら気にかけていなかった。
大分、殺生丸達と一緒に居るのが馴れてきたと思う。
殺生丸の事も、りんの事も、邪見の事も、阿吽の事も今は分かる。
殺生丸が鼻を鳴らして顔を背けるのは照れてる時
邪見の顔のシワが伸びているのは笑っている証拠
りんがぼーっとしているのは眠い時か熱がある時
阿吽が鼻を寄せて来るのは構って欲しい時…
大好きな人達を観察するのは面白いと言うことを最近覚えた。
ちょうどその頃、奈落は薄暗い城の中で神楽の様子を鏡越しに見ながら考えを巡らせていた。
ひたすら馬鹿みたいに自由を求めて何になる?
価値のあるモノなのか?
そもそも自由とは何なのか?
瞼を閉じていると様々な疑問が湧いてくるも、全て知ろうとも思わない。
人間の心は捨てた身だ。
分かる筈もない。
ちょうどいい
自由の意味を分からせてやろう…
奈落の目が獰猛な獣のようにギラリと光った。