私は奈落の造りもの

□8.永遠の闇
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「てめぇ、よくも!」

「蓮香はあんたの分身だろ!?何で殺すようなことするんだ!」




珊瑚も、もがきながら奈落に怒声を浴びせるが低い声で笑って返されただけだった。

癖のある黒髪が嘲笑うかのように空中で揺れる。




「そこで指でもくわえて見ていろ。四魂の欠片がワシの下に戻る瞬間をな」

「奈落!私はまだ死んでないわ。神楽姉様のおかげてね!」

「死に損ないが…」




蓮香が奈落の気を逸らしたことで犬夜叉と蛮骨の亡骸に伸びていた触手の動きが止まった。

挑発的な蓮香の言動にさすがの奈落も頭にきたのか、蓮香を睨む。




「貴様、いつからそんな口を利けるようになった」

「ついこの間よ!」

「お前の体はワシの術で何とでも出きることを忘れたか?」

「覚えてる。でも、犬夜叉や殺生丸が助けてくれる!他にも皆がいる!」




犬夜叉は蓮香の言葉に耳を傾けながらも、兄と名前を並べられたことに対して苦笑い。

だが、蓮香の言葉が犬夜叉に力を与える。

壁と同化しかけの太い触手を突き破り、鉄砕牙の刃を奈落に向けた。




「忘れでもしたか犬夜叉。

蛮骨の四魂の欠片のことを…ワシは何時でも四魂の欠片を取り込むことができるのたぞ?

そんなワシを一つの刀で倒せると思うか…それも良かろう」




目を閉じたまま触手によって捕らえられてはいる蛮骨の体。

まだ、生きているようにも見えるが蛮骨の目が二度と光を見ることは叶わない。

蛮骨の破れてしまった着物が静かに揺れる。

悲しい光景だった。




「しゃらくせぇ!その前に俺がお前をぶったぎる!」




奈落のせいでこの世に戻り、再びあの世へ帰った命。

あまりに悲しく寂しい最期を物語っていた。


またしても、奈落に人生を狂わされた人が…犠牲に


己の非力さを痛感させられた。

いや、せざるおえなかった。

奈落の体の一部である触手が蛮骨の首に伸びる。




「ダメ!蛮骨に触れないで!」

「うるさい」

「止めてー!」




奈落の触手が蛮骨の首に触れると同時に蓮香が蛮骨に何らかの術をかけた。

 
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