私は奈落の造りもの

□8.永遠の闇
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蓮香が床や壁に完全に飲み込み込まれた後、崩した壁の間から殺生丸が現れた。

立ち消えた蓮香の匂いと姿の手がかりも無く、探す宛もない。

これが奈落の策略だということは容易に分かった。

だが、この状況を打開する策が思い付かない。

堅らに爪が食い込むがお構いなし。


失い始めた愛しいと思える存在を…

必ず救う…


ゴオオオ…


白霊山の地響きと共に激しい縦揺れが変に柔らかい内部まで伝わってくる。

それに今までより濃い邪気が洞窟内を満たす。

蓮香の居場所は分からなくとも蓮香を連れ去った張本人が居るではないか。

そいつに訊けばいいではないか。

行こうそいつの元へ。

蓮香もきっとそこに居る。

僅かな希望を胸に奈落の邪気が漏れてくる方向に飛んだ。










「蓮香ー!」

「蓮香さん!」





壁に捕らわれたかごめと犬夜叉が奈落の腕の中の蓮香がやっと目を覚ました。

奈落の腕の中に居るのに気づけていないのか、ぼーっとしている。




「蓮香早く奈落から逃げやがれ!」

「ぅく…」




その時急に、喉へ強い圧迫感を感じた。

かごめや犬夜叉の他に珊瑚の声も聞こえる。

どうやら、奈落に自分を放すように言っているらしいが圧迫感が強くなる一方。


苦しい…


奈落の腕を両手で掴み、気道を確保するが依然として苦しそうに顔が歪んだまま。




「苦しいか、蓮香?」

「っ…」

「ワシの分身とは言え死なれては困る。まだお前の使い道はあるからな」

「奈落ッ、てめぇ!蓮香を道具みたいに…!」




奈落はいきなり蓮香の首を絞め、体を支えていた腕を放した。

高笑いを始めた奈落とは対照に絶望感に包まれた蓮香は重力に従って落ちていく。

届く筈がないが、蓮香はかごめに手を伸ばしたまま暗闇に消えて行った。












このままじゃ…

二度と殺生丸に会えない…



私が助かるには…

神楽姉様の羽!!


懐を引っ掻き回し、探し当てた羽に妖気を込め変化させると重力に従いながらも何とか乗る事ができた。

 
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