短編
□小さな不安
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一時間目の数字、二時間目の英語、三時間目の体育と私の大嫌いな教科のオンパレード。
よくもまぁ、こんだけ集まってくれてるもんだ。
正直、やる気が出ない。
それでも授業の時間が巡ってくる。
嫌な教科たちの授業中、頭の中にあるのは、私の最近の悩み事。
一時的に考えるのを止めようと窓の外を見れば、殺生丸がサッカーをしているのが見えた。
思わず見とれてしまう。
何時もの凛とした彼の表情に。
風を切って走る彼の姿に。
その後もボーっと外を眺めていると英語の授業が終わり、体育の授業の準備のために皆が更衣室に移動を始めた。
「やばっ!香奈美ーちょっと待ってよー!」
香奈美がボーっとしている蓮香をよそに教室を出ようとしていたが、蓮香がそれに気づき、急いで追いかける。
「うわぁ、、、今日サッカーなの?、、、はぁ」
本日何度目か、また溜め息をつく。
私、サッカー苦手、、、。
何で今日はこんなについてないのよっ!
もういやだよ、、、。
先生がチーム分けをして、さっさとゲームを始める女子達。
蓮香は、コートの端に陣取ってゲームの行く末を見守る。
そしてまた例のごとく、考え事が頭を過ぎる。
サッカーが始まったにも関わらず、蓮香がコートの端で考え事をしながら固まっていたら、ボールがいきなり飛んできた。
「うぇぇぇぇー!」
意味の分からない叫び声を上げながら除けようとはするが、体が上手く動かず、ついには顔面直撃。
この時ほど自分の運動神経の悪さを恨んだことはない。
あぁ、顔面が痛いよぉ。
蓮香がそう思った次の瞬間にはもう意識を手放してしまっていた。