短編

□小さな不安
2ページ/3ページ

一時間目の数字、二時間目の英語、三時間目の体育と私の大嫌いな教科のオンパレード。

よくもまぁ、こんだけ集まってくれてるもんだ。

正直、やる気が出ない。

それでも授業の時間が巡ってくる。

嫌な教科たちの授業中、頭の中にあるのは、私の最近の悩み事。

一時的に考えるのを止めようと窓の外を見れば、殺生丸がサッカーをしているのが見えた。

思わず見とれてしまう。

何時もの凛とした彼の表情に。

風を切って走る彼の姿に。

その後もボーっと外を眺めていると英語の授業が終わり、体育の授業の準備のために皆が更衣室に移動を始めた。

「やばっ!香奈美ーちょっと待ってよー!」

香奈美がボーっとしている蓮香をよそに教室を出ようとしていたが、蓮香がそれに気づき、急いで追いかける。









「うわぁ、、、今日サッカーなの?、、、はぁ」

本日何度目か、また溜め息をつく。

私、サッカー苦手、、、。

何で今日はこんなについてないのよっ!

もういやだよ、、、。






先生がチーム分けをして、さっさとゲームを始める女子達。

蓮香は、コートの端に陣取ってゲームの行く末を見守る。

そしてまた例のごとく、考え事が頭を過ぎる。

サッカーが始まったにも関わらず、蓮香がコートの端で考え事をしながら固まっていたら、ボールがいきなり飛んできた。


「うぇぇぇぇー!」

意味の分からない叫び声を上げながら除けようとはするが、体が上手く動かず、ついには顔面直撃。

この時ほど自分の運動神経の悪さを恨んだことはない。

あぁ、顔面が痛いよぉ。

蓮香がそう思った次の瞬間にはもう意識を手放してしまっていた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ