long Novel
□survival 10days 〜Day4〜
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次に目を覚ました時には身体がずいぶんと軽くなっていた
『soi!!起きて大丈夫?』
「うん。熱下がったみたい(笑)」
念のためと風邪薬を用意してくれたサオリ
『soi、大丈夫?』
サオリの言う大丈夫は私の気持ちのほうで、心配そうな瞳を向けるサオリに苦笑いをもらし、昨夜の出来事を話した
『そっか…。サナエさんとのこと、まだ疑ってるの?』
「ううん。てっちゃんの口からちゃんとサナエさんとの事、聞いたから、もう終わった関係だっていう、てっちゃんの言葉を信じる」
『じゃあ、soiは何に不安を感じてる?』
「正直、わからない…。たくさんの女の人と関わる仕事なんだろうなっていうのはなんとなくわかる、それに対して不安になったり嫌な思いをするのかもしれないなってことも。でも、それは経験してみないとわからないことで、何もかもが不安に思える」
『うん、そっか…。一般人の私達からしたら芸能人の彼を相手にすることは大変なことかもしれない。常にまわりの目を気にしなくちゃいけないし、2人で居る時は普通ではないかも。仕事は不規則で、会いたい時に会えない。2人でしたいこともいっぱいあるけど、それが出来ない。』
「サオリはそれでケンチと付き合うこと嫌になったことないの?」
『悩んだこともいっぱいあるよ(笑)でも、結局のところ私はケンチが好きなんだよ。ケンチじゃなきゃダメなんだ(笑)どんなに辛いことがあっても側に居たいと思う』
「サオリはケンチの事、本当に好きなんだね」
『soiだってそうでしょ(笑)てっちゃんが好きでずっと側に居た』
今までもこれからも、てっちゃんの事が好きで、側に居たいと思う
その気持ちに嘘はない
そう思うと少しだけ不安が薄れた気がする
『私、てっちゃんの言ってることよくわかる。soiがてっちゃんと付き合うようになったら感じてしまうかもしれない不安や心配、それでsoiを苦しませてしまうことをてっちゃんは不安に思ってる。soiのこと大切だからこそ、その苦しみを少しでも和らげたい、そしてそれでも自分の側に居てくれるのかを知りたい。soiが不安に思っているのと同じように、てっちゃんも不安なんだよ』
自分だけが不安なんだと思っていた
言葉の裏に隠されたてっちゃんの気持ちまで考える余裕がなかった
『てっちゃんロマンチストなくせに大事なところは言葉足らずなんだから、2人がお互いの事をどれだけ大切に想っているかは私にもケンチにも十分伝わってくる、でも、大事なのは2人の想いが通じ合うこと。私が悩んだ時にはケンチが側に居てくれた、だから私は乗り越えられた』
想いが通じ合うっていうのは、そういう事なんだ
ただ相手の事を好きだと伝えるだけじゃなく、相手の事を想いやること
てっちゃんに想いを伝えたい、それだけを思ってきた私は、そんな大切なことにさえも気付けなかった
『ここからは2人の問題、soiが感じた不安も、てっちゃんが感じている不安も、それを乗り越えられるかは2人次第。はい、てっちゃんからの答えはここに書いてあるんじゃないの(笑)』
ニヤッと笑うサオリに私も笑みがこぼれる
サオリが差し出した封筒には“soiへ”と書かれた見覚えのあるてっちゃんの文字
『気づかなかった?テーブルの上にあったけど(笑)あっ、中読んでないからね、後で教えてよ〜(笑)』