long Novel

□survival 10days 〜Day1〜
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Day.1_____



LIVE会場がある駅に到着した私は、てっちゃんに言われた通り到着メールを送る


開演まであと2時間、すぐに返事がこないと踏んでいた私は、キョロキョロとまわりを見渡し休めそうな場所を探す


すでに人で溢れかえったこの一帯、行き交う人みなLIVE仕様の格好で、普段着の私は逆に目立つぐらい


なんだか居心地が悪く木陰に隠れるように身を寄せたところで携帯が鳴る



「もしもし?」

『soi?今、どの辺?』

「駅の改札出たところ、なんか人がいっぱいで私すっごく浮いてるんだけど(泣)」

『ははっ、そりゃそうだ(笑)まずホテル行きな、俺の名前でチェックインしてあるから。それと17時にサオリちゃんが部屋に迎えに来てくれるからいろいろと教えてもらいな』



ケンチの彼女、サオリさんはてっちゃんから何度か聞いたことのある人、同じ歳のサオリさんに一度、会ってみたいと思っていた


LIVE初日、しかも参戦する前から半端ないアウェイ感を感じていた私には心強い味方が出来たわけで、不安だった気持ちが一気に解消された


会場近くのホテルに到着しフロントでてっちゃんの名前を告げると部屋まで案内される


エレベーターに乗り込むと最上階のボタンが押され、着いたフロアには扉が一つしか見当たらない


通された部屋は自分の部屋より遥かに広くて唖然とする


泊まったことも、入ったことさえもないけれど私だって知っている、ここはスイートルームと言われる部屋なんじゃないかって


10日間をホテルで過ごすことになる私、LIVE期間中はどのホテルも一杯になるということで、てっちゃんが手配し予約してくれた


焦った私はすぐにてっちゃんへ電話する



「てっちゃん?!」

『部屋着いた?』

「着いたけど!!予約してもらってなんだけど!!こんなお部屋に私泊まれないよ(泣)10日間で一体、いくらかかるの?!」

『ホテル代もう払ったし』

「えっ〜?!悪いよてっちゃん、自分のホテル代くらい払うから…」

『大丈夫、俺も泊まるもん』

「へっ?!」



予想もしてなかったてっちゃんの言葉に素っ頓狂な声をあげる



『最初から俺、そのつもりだったけど…嫌?』



少し寂しげに、甘えた口調でそう聞くてっちゃんはズルい


私が嫌なわけないってわかってるのに


結局、てっちゃんの思惑通りに事は進むわけで…


観念した私は電話を切り、10日分の荷物の整理を始める


荷物の整理も終わった頃、部屋の呼び鈴が鳴った
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