頂き物
□淡々のにまめ様から
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「あら、浴衣着てくるとは思わなかったわ〜!可愛いじゃない!」
「浴衣が?」
「……そういうこと言わないの」
「うええ、」
待ち合わせそうそう、ギャリーに頭をぐりぐりされました。名前です。
お祭りに行こうなんて誘われれば、最高のオシャレといえば浴衣ですよね。近所のおばさんに着付けしてもらいました。
「はい、手」
「え、つなぐの?」
「…不満なの?」
「いや、不満っていうかね、ちょっと照れるなーとか言って…」
「良いから繋ぐ!はい!」
「ぎええ!」
ほぼ無理やり手を取られてぐいっと引かれました。ギャリーさん、あのですね、あたし今浴衣なのでそこそこ大股開きで歩けませんのよ!
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「焼きもろこし…フランクフルト…焼きそば…」
「アンタ、食べ物にしてももっと可愛いもの欲しがりなさいよ…」
「例えば?」
「わたあめとか…りんごあめとか…いろいろあるでしょ?」
「おやつじゃん!!あたしはお腹が空いているのじゃ!!」
「はいはい…」
口元に手をあててクスクス笑うギャリーの女子力で既にお腹いっぱいだったけど、一応焼きそばを奢っていただきました。美味しいです。
「おいひい」
「食べながら喋らないの」
「んむんむ…はーい」
「あ、ねえ名前、一口頂戴?」
「ん?はい」
プラスチックの器をギャリーに押し付けると、ものすごく微妙な顔をされました。なんやねん。
「食べたいんじゃないの?」
「……そうじゃなくて、食べさせてくれるとか、ないの?」
「…へ、」
唇を尖らせて拗ねるギャリーがとてつもなく可愛いので、仕方なくあーんしてあげました。親鳥になった気分です。
「ん、射的懐かしいなー!」
「繁盛してるわねえ」
「あのぬいぐるみ、昔持ってたやつと似てる!」
「ぬいぐるみ?」
一番下の台に置かれた丸っこいぬいぐるみを指差すと、ギャリーはあたしの頭を撫でてから、射的屋さんに一回分のお金を支払いました。おお?
「あの白いぬいぐるみよね?」
「ん?うん」
「んー…えいっ」
ギャリーがパン、と撃った一発は、見事ぬいぐるみに命中。白いそやつはそのまま後ろへすってんと落ちて行きました。さすが、腕が長いと命中も威力も安定しますね!
ギャリーさんとおまつり
(はい、ぬいぐるみ)(ふへへ、ありがと)(…ね、それ片手で掴めないの?)(え?)(…手、あけてよ)(かーわいいなー!ほらよ!!)(……ふふ、)
にまめ様 素晴らしい作品ありがとうございました!