トリストっ!

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学園生活始まりました:前編








ジリリリと目覚まし時計が鳴る。

渋々目を開けるとそこは見慣れぬ部屋。…そうか昨日トリップしたんだっけ。ふと時間を確かめてみれば針は8時15分を指している…。

『…。』

「ぐぅ〜…かぁ〜……はっ!……ぐぅ」

『…8時15分…。…8時15分っ!?』

「ずずぅー…」

『姫香起きろ!!遅刻!起きろハゲ!』



はっ、と一気に頭が覚醒し、変ないびきをかいている姫香を叩き起こす。お母さん、あと10分…とか言い出し、イラッとしたため蹴り飛ばす。



「いった!!」

『遅刻!』

「はぁ!?てか、もっと優しく起こせよ!」『次から努力する。取り敢えず着替えて!』「はいはい。……って遅刻!?」

『反応おそっ!』

「何でもっと早く起こさないのっ!」

『いや、自分も今起きたし。というか、お前だろ、昨日目覚まし設定したの!何でこんな時間にした』

「ちゃんと6時にしたよ!」

『じゃあなんで!!』

「『…………あ』」



ぎゃあぎゃあ言い合っていると、昨日の出来事がふっと蘇る。



――――



「この目覚まし時計可愛いですねぇ」

『あぁ、それこの部屋に元々あったんだよ』

「そうなんですかぁ。あ、8時15分に設定しておきましょう」

「いや、なっちゃんヤメテ」

「いいじゃん、後で戻せば。それにこんなキラキラしたなっちゃんを止める事はワタシには出来ないわ」

『…このなっちゃんバカが…。まあいいか。でもなんでそんな時間?』

「ふふ、何故か8時15分って文字の並び、可愛く感じるんですよ。ねえヒメちゃん」

「うんっなっちゃん。」

『…そうかそうか。』



――――







『なっちゃん…』

「…何かごめんな…」

『いいよ、後でなっちゃんシメるから』

「オイ」

『取り敢えず早く行こう!!編入初日から遅刻とか印象悪すぎる!』



強制的に話を終わらせ、急いで朝食を済ましAクラスの教室へ向かう。因みに、遅刻だというのに朝食を食べるのは、食べないと授業中に腹が鳴るからだ!食事は朝昼晩!も私のモットーだから、みんな覚えとくように。ご飯に忠実な人はきっと幸せになる!



















『遅くなりましたぁ!!』

ガラッと乱暴にドアをあける+大声。一気に視線がこちらへと向けられ、教室は騒がしくなった。から回っちゃったか…?



「あ、優姫おはよー!」

「ヒメちゃんおはようございます」

「『おはよう(音也)/(なっちゃん)』」

取り敢えずここは優雅に手を振って中に入ろう!あははうふふと手を揺らし、足を踏み出す。教室に入る途中、音也となっちゃん、春ちゃんと友ちゃんが朝の挨拶をしてくれたのでおはようと返す。

ただ、ダム様に挨拶されたかったのは悲しかったな。多分照れているんだろう!、そう勝手に解釈しておいた。でも、やっぱり挨拶されないままでは悲しいので、かの有名な「キラッ☆」のポーズと共におは代永!と言えば、曖昧ながらも挨拶をしてくれた。

みんなと挨拶が終わり、教卓へと向かう。



「二人ともおはやっぷー☆相変わらず可愛いわねっ」

『おはやっぷぅうぅ!朝から熱いハグをありがとう』

「林檎ちゃんも可愛いよ!」

「うふ、ありがとう姫香ちゃん。二人とも遅刻だけど可愛さに免じて、特別に許しちゃうわっ」

『まじすか!さすが林檎ちゃん!!』



三人のやり取りを見ていたAクラスの生徒達。中には歓迎的ではない眼差しもあった。

季節外れの転入生が売れっ子アイドルの先生と親しくしていたら誰もが疎まうだろう。



「あ、はい。学生証!じゃあ、二人ともみんなに自己紹介してねんっ」

学生証と呼ばれた金きらの物。それを何事もなく手渡す林檎ちゃん。そして自己紹介を促す。

『金ぴか…。あ、米崎優姫15才!作曲家コースです!!季節外れの編入ですが、一応わけありでして…。まあ仲良くして下さい!!』



ガバッと勢いよく頭を下げる。するとパチパチと拍手が聞こえほっとする。だってしーんってなったら泣けるじゃん!いかにも何だてめぇ。みたいな!ガン飛ばされたらもう泣いてた所だ。

所々「可愛いー」とか「アイドルコースじゃないの?」とか「ちっちゃい」と言う声が聞こえた。可愛いとかは素直に嬉しいけどちっちゃいは余計だ!私の身長は平均身長だと言い張ろう!!み、みんなが無駄に高いだけだ…!



「じゃあ、姫香ちゃんよろしくっ」

「はーい、桜井姫香16才!優姫と同じくわけありで編入しましたぁ。因みにアイドルコース!よろしくねー」



姫香がふわっと微笑めばみんな顔をほんのり赤らめた。姫香美人だもんね、黙ってれば!友達として微笑ましいよ。

姫香を見てにやにやしていたら、一人の男子生徒がゆっくり手を上げた。



「どうしたの、田中くん」

「優姫ちゃんは彼氏いるの?」

『…ん?』

「ちょ、お前!俺が聞こうとしてたのに!」

「はい!姫香ちゃんも彼氏いますか!?」

「それ俺も気になる!」

「二人ともレベル高ーい。女子のあたしでも惚れそう!仲良くしよー!」



田中と呼ばれた男の一言で教室が再び騒がしくなった。林檎ちゃんが必死に宥めるが一向に収まる気配はない。一方、私達はわけも分からずポカーンとしていた。



「……静かにしろぉ!!」



ついに林檎ちゃんがキレた。…素が出てますよ…。

林檎ちゃんの叫びでしーんと静まり返る教室。大半の人がびびってます。ほら、田中くん目見開いてるし…。信じがたいシーンを、あなたは見てしまった…!



「あら、大声出しちゃってごめんなさい。田中くん、聞きたい気持ちは分かるけどここは恋愛禁止なのよ?他のみんなも二人が可愛いからって困らせちゃダメじゃない。」



渋々みんなは返事をする。…別に困ってはないんだけどね。



『まあまあ、林檎ちゃん。それくらい大丈夫だよ?と言う事で私達は彼氏いませんっ!!』

そういい放つと一部の生徒が嬉しそうな顔をした。…ような気がした。誰か!!自惚れ乙って言って殴ってください!!!!



「あなた達はもう…っ」

「この話は終わりー!!先生、うちらの席はどこー?」



「ああ、そうねぇ…。あ、ハルちゃんと友ちゃんの隣が空いてるわよ」





林檎ちゃんが指した先は春ちゃん、空席、音也、ダム様、友ちゃん、空席、なっちゃんとなっている席だ。

取り敢えず私は春ちゃんの隣、姫香は友ちゃんの隣に座る事に。席についた時、春ちゃんに「よろしくお願いしますっ」と言われ、思わず抱きつく。案の定林檎ちゃんに「そこ、いちゃいちゃしないの」って怒られちゃったけど。







∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞







なんやかんやでお昼の時間。

朝御飯を食べたと言うのに私のお腹は高鳴っている!何故、何故なんだ!!幸い、誰にも音は聞かれなかったが。ありがとう神様



「お昼どうするー?」

『あ、購買行きたいー。さおとめろんぱん〜』

「さおとめろんぱんイイネ!!早速レッツゴー!」













―数分後。





「…」

『…』



只今私達は迷子なうです。この広い早乙女学園の購買に昨日来たばかりの二人で行くなんて無謀だったのだ。



二人は途方に暮れていた。



『…』

「…」



取り敢えずその場にしゃがみ込み地面に8の字を書いてみる。一方、姫香は体育座りをし、虚ろな目でどこか遠くを見つめていた。



何分かたった時、救いの声が聞こえてきた。神か?神なのか?



「お、お前ら何してんだ…」



ゆっくりと声のする方を見ると翔ちゃんが怪訝な表情を浮かべながら私達を見下ろしていた。

心が折れかけていた私は何だか嬉しくなりそっと無言で彼に抱きつく。



「な、ななな…っ!?」



焦る翔ちゃんとは対照的に私はぎゅっと離すまいと腕に力を込める。何か安心するんだよな翔ちゃんは。まあ、この台詞多分みんなに使う事になると思うけど。だれがミーハーだ。驚く翔ちゃんを無視して、胸板にすりすりと頬擦りをする。なんでみんな、こんないい香りなんだろう。

幸せに慕っていたらいきなりベリッと誰かに引き剥がされた。



『ちっ、誰だよ。』

「何をしているんですかあなた達は」

「トキヤだぁー」



今度は姫香がトキヤに抱きつく。トキヤが怯んでるうちに翔ちゃんに腕を絡ませる。はっ、いいぞぉ姫香ー。もっとやれー。



「お、お前っ!」

『翔ちゃん、トキヤ。購買!』

「…は?」



何か言いたげな翔ちゃんの言葉を遮り、そう言うと、言葉が足りなかったのかすっとんきょうな声が返ってきた。



「…購買が何ですか…」



姫香に抱きつかれ、少し疲れた顔をしたトキヤが聞き返す。ぐいぐいとトキヤは肩を押し返すも姫香が離れてくれないのだろう。ていうか、姫香を押すなんてどんなつもりだ!!!翔ちゃんは慌てるだけで離すような事はしないのに!











―――――――――





長いんでちょい切りますー。





2012/10/06

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