トリストっ!
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トリップしちゃいました
『あぁ…やっぱアニメはいいね〜』
「そうだなぁ〜…」
『二次元いきたいなぁ〜。うたプリぃいぃ!音也ぁ』
「分かるー。なんかこう…シュッていける方法ないかなぁ」
いつもの場所いつものトーク。
お菓子や飲み物を買ってゆっくりし、たまには愚痴ったりするのが私達の日常。今日も学校帰りに二人で溜まり場(?)へ行き、のんびりと会話。その内容のほとんどがが大好きなアニメゲーム、うた☆プリや、声優さんの事。ぶっちゃけた話、『下ネタ』多し。健全な証拠ですね。
『あ、5mの所からPC画面に飛び込んだら二次元行けるって聞いたよ』
「へぇ。PC、ぼっろぼろになるね☆」
『だよね』
あははとどちらからでもなく二人で笑いあう。なんとなく面白かったので姫香の頭をばしっと叩けば「いったいな!」っていいながら倍返しされた。こっちの方が痛い。さすさすと痛む場所を擦りながら空を見れば少し暗くなりはじめている。
『今何時?』
「今?いまはー6時半。そろそろ帰るかー」
『うぬー』
今日もたくさん話したなぁ。なんて思いながら荷物をまとめる。食べた後のゴミを片付けながら立とうと腰をあげ、カバンを掴もうとした瞬間、眩しい光に包まれた。
『「!?」』
驚いたものの、光は一瞬で消えた。
ほっと、胸を撫で下ろしたが、自由になった視界に写し出された景色に思わず絶句する。そこは、先ほどいた場所ではなく見知らぬ所。バッと後ろを振り向けば放心気味の姫香の姿が。一人ではない事に少し安堵。
『………。』
「ここどこ…」
『わ、分かんないよ…。ファンタジー……』
いまの二人の頭上には疑問符がいくつも浮かんでいるのではないかとくらい疑問だった。
『夢…?』
「…いったいな!!つねるなら自分のつねろよっ!」
夢かなと思い、姫香の頬をつねってみる。案の定、怒られたけど…。まあ、さっきの仕返しの仕返しという事で。ええ、はい結構根に持つタイプですよーだ。
『ほんと、どこなんだろ…』
「とりあえず、そこらへn「いやんっ!可愛いぃいぃ!」
『「ぐえっ」』
取り敢えず、ここにいては始まらないと、場所を移動しようと思ったらがばっと急に誰かに抱きしめられた。と言うか抱き潰されかけた。
何事かと思い、相手を確認しようとしたが力強く抱きしめられているため動くのも難しい。いい香りがして女の人かな?と思ったが、やけに胸元が固い。等と思っている間も誰かにぐりぐりと顔を無理やり胸板に押し付けられているのだが。顔痛い。今日は地味に痛いことばっかだなオイ。
『は、離してくだ…っ』
力を振り絞り、相手を押し退ける。ピンク系の暖かい色をした長くて柔らかい髪がふわっと跳ね、頬をかする。
「あら、ごめんなさい。二人ともあまりにも可愛かったから」
語尾にハートマークがつくような喋り。聞いた事のある声。
顔を見た時、一瞬言葉を失った。
『…っ』
「(ふるふる)」
姫香に関しては、彼女…正しくは彼を指さしながら震えている。まあ、そうなる気持ちも分かりますがな!!!!!
『「林檎ちゃあん!!」』
そう言いながら、次は反射的に私達から抱きついた。すると彼は「あら」と声を漏らしながら少しだけ驚いていた。でも私達はそんなのお構い無し。
『本物本物ー!?』
「リアル可愛いー!」
そこにいたのは知る人は知る、女装アイドル月宮林檎。もう、女の子にしか見えないくらい可愛い。しかし、何故彼がいるのか。林檎ちゃんから離れ少し首を傾げる。一方姫香の方も眉間にシワを寄せている。
「おい、何やってんだ」
ふと後ろから声が聞こえた。
もしやもしや―!?
なんて思い、ぐりんっと後ろを振り向く。そこには思っていた人物の姿が。勢いよく振り向いた為、若干引いたような顔をしているではないか。だが、興奮しまくっていた私は気にせず抱きつこうとする。が、頭を押さえられ前へ進めない。ぐっ…これが身長の差というものか…っ。挙げ句の果てには「何だこいつ…」なんて呟かれ、奇妙なものを見るような視線を向けられた。
ケン王で有名な日向龍也。元ヤンなだけあって目付きが悪い。でもカッコいいな!!!!
「リューヤ!んとね、何か回りが光に包まれて気付いたら彼女達がいたの!!」
「わかんねえよ」
林檎ちゃん…、可愛いけどホント分かんないよ。確かにそうだったと思うけどさぁ。
「お前、どうやってここに来た」
てへっ☆とする林檎ちゃんから視線を外し、私達に質問を投げ掛ける。なにより龍也さんの目には少し敵意の色が伺えるのだが。
「二人で語ってて、帰ろうとした時に光が。」
『んで、気付いたらここに!』
うん。どう説明したらいいのか分からない。逆に自分が知りたいくらいだもんね!!って、なんか龍也さん呆れた顔してる。おぉ、ため息までついたっ!
「お前ら、帰る場所は?」
『分かんない。』
「そもそも、ここどこ」
「はあ…」
『ため息つくと禿げますよ』
「あぁ?」
『すいません。』
「…おい、お前ら名前は」
『やだぁ、新手のナンパですかぁっ?…すいません。米崎優姫です』
「…桜井姫香です」
名前を述べると携帯を取りだし、何やらカチカチと打ち出した。おっとー。龍也さんスマホですかぁ。私と一緒☆まだまだ若いね〜。
『あ…』
「どうしたぁ?優姫ー」
『カバンどうなったんだろ…』
「あ」
『携帯とか入ってたんだけど…』
「あら、これの事かしらんっ?」
『おお!!』
私達の会話を聞いていたのか林檎ちゃんが話しかける。その手には私達のスクールバッグ。何故持ってるのかと聞いた所、私達が現れた時、近くに飛んできたのだという。何がともあれ、カバンがありひと安心だ。カバンを受け取り、がさがさと中を探る。
『あった。』
「何してるの?」
『まあまあ、見といてや』
取りだしたのは、機種変をしたばかりの携帯。通称SU☆MA☆HO☆!カメラを起動し、林檎ちゃんに向ける。
『林檎ちゃん、一枚お願いしまぁす!』
「はぁい♪」
「わおっ」
ノリのいい林檎ちゃんはきゃぴっと、可愛いポーズを決めてくれた。カシャリと音が響き、私は目に止まらぬ早さで撮った写メを待ち受け画面に。続いては龍也さんを…!そう思いSU☆MA☆HO☆を向けたが、私の行為に気付いたのかビシッと頭をチョップした。
『ぬぁあ!必殺ケン王チョップ痛いぃ!!今日一番痛いわ!』
「ぷぷ」
「…お前らの事を調べてもらったが情報が何ひとつ無かった。その制服も見たことねぇ。お前らなにもんだ。」
「くせ者です。てか、シャイニング事務所の権力すごいですね」
『悪者です。シャイニング事務所の権力すごいですね』
「まあな。…ってちゃんと答えろ。」
本当、シャイニング事務所の権力すごいよ。ていうか、こたえろって言われても…。「どうやらトリップとやらにあっちゃったみたいです☆」とか言えばいいのか?いやいや、 何コイツ。頭イカれてるんじゃねぇかって思われるに決まってる。そう考えると何故か気持ちが沈んでいく。
「……。」
『……。』
「リューヤ…。」
「分かってる…」
グリグリと龍也さんに頭を撫でられ思わず「ぐわっ」なんて色気のない声を出してしまった。横を見れば姫香は林檎ちゃんに優しく頭をなでなでされていた。優しくね。←ここ重要。
「なんか、知らねぇがワケアリなんだろ」
「うん…」
『……。』
「良かったら私達に話してくれないかしら?」
「コイツ頭イカれてるんじゃねぇか、とか思わない?」
『厨二病おつ、とか言わない?』
「言わねぇよ」
「『…』」
姫香と視線を合わせ、アイコンタクトをとる。こくりと頷き、話す事にした。
『簡単に言うと、私達は違う世界から来たんです。』
「は…?」
「ユウちゃん、もうちょっと詳しくいいかしら?」
『私達にとってここは、あの世界で流行ってる「うたの☆プリンスさまっ♪」ってゆうアニメとゲームの世界なんです。』
「要するに次元が違うんですよ。その世界に何らかの出来事で飛ばされたみたいで…。」
「「…」」
あら、だんまりされちゃった。やっぱこんな話、信じられないよね。私だったら「何言ってんの?wwwまじ厨二病おつwww」って流しちゃう。
「やっぱ信じられないよね」
『……』
「いや、正直信じられねぇが、お前らが嘘ついてるようには見えねぇ。」
「そうねぇ。私も信じるわ。何よりシャイニング事務所の権力でも情報が無かったっていうのが何よりの証拠だもの。」
「リューヤさん…」
『林檎ちゃん…』
「あ、リューヤ!この子達も学園に通わせましょうよ!」
「そんな簡単に…」
「私からシャイニーにお願いするから♪ね?事情を話せばOKくれるわよっ」
「……勝手にしろ」
話が勝手に進んで行く。
取り敢えず、信じてくれた…のか…?トリップ…。まさか、そんな夢のような事があるのか…と、思い不安もあるが正直ワクワクしている。何せよ、好きなアニメ&ゲームの世界に来ちゃったんだから。
「おい」
『は、はい!?』
急に話しかけられたもんだから、少しビクッてなってしまった。
「最後に確かめだ。最近スタートした『田中は見た』ってドラマは知ってるか?」
「『田中は見た』?何それ、『家政婦は見た』の間違えじゃないすか?」
「…(家政婦は見た…?…視聴率98%もある「田中は見た」を知らねぇとは…)」
「…?」
「……俺は、お前らを信じるぞ。もし後で嘘だとなったら……分かるな?」
『リューヤさん…、ドキッ!』
「…ドキッて、普通口で言うか…。」
こうして私達のトリップストーリーが始まったのだった。
因みに後から聞いた話、私達がいた場所は視聴率98%の林檎ちゃんと龍也さんが出演する「田中は見た」の現場で、部外者は立ち入り禁止だったらしい。
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トリップ連載はじまったぜー(^ω^三^ω^)
うざキャラな夢主にしたいですねっ←
2012/09/25
編集2012/11/05