短編

□真斗とメロンパン
1ページ/1ページ









日は12月29日、場所は私のお部屋。中には私、音也、那月。みんなでキッチンに籠って、クッキングなう。

どうしてクッキングをしているのかって?それは今日、みんな大好き武士道青年、聖川真斗の誕生日だからだ。結構前からみんなで何かを作ろうという話をしていて昨日やっと真斗が大好きな「メロンパン」にしようではないかという事になった。今はやっとメロンパンを焼き上げ、トッピングの所までとなった

『おしおしおし…そのままそのまま…っ』

「あとちょっと…っ」

メロンパンそのままだけだとさみしいのでチョコペンでメッセージを書くことに。最後の仕上げと言う事もあって私も音也も慎重だ。

「あっ、ちょ那月…!!」

そんな中、隣でなっちゃんがタバスコを手にしていた。一瞬何事かと思ったがあのなっちゃんの事だ、メロンパンにかけるに違いない。そう思い私は全力で叫んだ。

『なっちゃんダメ!ダメェエエェッ』

あんなに時間をかけて作ったメロンパンをタバスコごときに台無しにされてたまるか…っ!!!だが、そう思うも…時既に遅し。

「え?」

ドパパパー…

私の叫びも虚しく、握られたタバスコは傾き中身を落とした。しーんと静寂に覆われた私の部屋。そんな中タバスコが注がれる音が響く。

『…嘘…でしょ…っ!?』

「那月…」

「あれ〜二人ともどうしたんですかぁ?」

『なんでだ…っ!何故タバスコを…』

「隠し味にいいと思ったんですがー…」

『よくねぇよ!それにタバスコってもっとこう…パッパパッパでるものでしょ!?なんでどばーと出たの…!?』

「………………さぁ…?」

『なっちゃん、今の間なに!?』

「あ〜あ…せっかくのメロンパンが台無しに…」

『うぅ…っ』

がっくりと肩を落とす私と音也。一方那月は意味が分かってないのか小首を傾げている。くそぅ…っ可愛くて強く怒れねぇじゃねえか…っ!!

『どうしよ…これ…』

私は真っ赤に染まったメロンパンを見つめ呟く。今からまた作っても時間がないし、今更何かを買おうとしてもなにを買ったらいいのか分からないし…。本当にどうしよう…

そんな事を悶々と考えていたらピンポーンと部屋のインターホンが鳴った。……誰だろ…。音也達以外に人を呼んだ覚えないんだけど…。

『はーい!ちょっと待って下さいーっ!』



ピンポンピンポーンと何度も鳴らされ、慌て玄関へ向かう。ガチャリと扉を開ければ……………

『ま、真斗…っ!?』

「なまえ、急に訪ねてしまって申し訳ない」

『そ、それはいいんだけど…』

手に持っているものに目をやる。彼の腕にはたくさんのメロンパンがあった。何事かと顔を伺えば苦笑いが返ってきた。

『と、とにかく入って』







「あれ、マサ…!?」

「わぁ!!!真斗くん〜」

「む、一十木ではないか。それに四ノ宮まで。」

「ってどうしたのそのメロンパンっ!!」

「どれも美味しそうですねー…」

「実はだな、ファンや友人やらから"おめでとう"と言われ、貰ってしまったのだ」

『あぁ…なるほどね…』

「なまえ、何か知っているのか?」

『あれ、今日なんの日か気付いてないのっ!?』

「………?」

「あ〜…マサらしい…」

「ふふっ、真斗くんキュートですぅ」

「それより、俺一人では食べきれない。みんなで食べないか?」

『え……いいの?』

「ああ」

「食べる!!!俺たべたい!」

「本当にいいんでしょうか…?」

「構わん。みんなで食べた方が美味しいだろう」

さすが一十木音也。遠慮がない雑種犬だな。なっちゃんはあんな事した割には礼儀がなっている…さすが…

私は渋々メロンパンを受けとる。っていうか、今日自分の誕生日だよって教えてあげた方がいいのかな…?あ、でもそしたらプレゼントが…。……さっき作ったメロンパン…

「なまえ?どうしたんだ。浮かない顔をして」

『え!?何言ってるの元気だよっ!!!』

「そうか…」

「なまえ……」

私の心を察したのか、音也が眉毛をハの字に下げ私を見つめている。心配させぬようにっこり笑ってやれば少しほっとしたのか微笑み返す。とにかく気持ちを紛らわそうとメロンパンに頬張りつく。

『…っ!!美味しい…!』

「え、なまえ…」

思った以上にメロンパンが美味しくて思わず全てペロリとたいらげてしまった。"なまえちゃん、パンダさんみたいで可愛いです!"となっちゃんに抱き締められハッとする。………顔を上げれば真斗と目が合う。

『……………』

「……………」

これは逸らすべきなのか…。心なしか真斗の表情が優しく見えるような。どうしたらいいのか数秒見つめあっていたら真斗の顔が至近距離まで近づいてきた。ビックリして離れようとしたらがしりと後頭部をおさえられそのまま引き寄せられキス…………してしまった…。

『っ!!!!!』

「なまえ…」

『えっ、ちょ…んん…っ』

軽く触れるだけのキスが徐々に深くなり、口内に舌が侵入する。くちゅっと二人の唾液が混ざる音が聞こえ、顔に熱が集まるのが分かる。

みんな…!みんな見てるのに…っ!!ぐっと肩を押すがビクともしない。……一体どうしたら…。中のソレは私の舌を追いかけ、しつこく絡まる。



「ストップゥ!!!!」

「っ!?」

頭が真っ白になり始めた時、ぐいっと私達は引き離された。

『っ、…はぁ…はぁ…っ』

「マサ何してるのっ!?」

「っ!!す、すまない…っ」

「真斗くんとなまえちゃん、すごくラブラブですね!」

『……っ』

ほんっとうに恥ずかしい…っ!!!あぁあっ、どうしようっこれからみんなにどんな顔して会えばいいんだぁあぁああぁっ

「なまえ…怒ってる…のか…?」

『い、いや!!怒ってないよ…っ!』

「そ、そういえばマサ!今日誕生日でしょっ!」

うつむき、泣きそうな私の為に話をそらしてくれる音也。今だけは彼がかっこよく…かっこよく…?見えた

「あ、そうでしたぁ。僕達真斗くんの為にメロンパン作ったんですよ〜」

「那月!あれは…っ」

「本当か?なまえ」

『へっ!?う、うん…っ。でもあれはもう食べれないよ…』

「何故だ?」

『………なっちゃんがタバスコ入れちゃった……』

「……どこにある」

「キッチンにまだありますよ〜」

「台所か…」

そう呟くと、真斗は立ち上がりキッチンへ向かう。私含め、みんなも慌ててあとを追いかける。

『…うっ…』

メロンパンの甘い香りとタバスコのつんとくるような香りが混ざり、独特な匂いがキッチンを包む。

「これか…。確かに食べられそうにないな…しかし、何か食べ方を変えたら少しは美味しくなるかもしれん」

『……?』

意味がわからない。首を傾げれば何故か指で唇をなぞられた。今まさに、私は目が点。そんな中、なっちゃんが「あー!」と声をあげる。何事かと視線を向ければなっちゃんがメロンパンをちぎりはむっと少し口に含みだした。

「真斗くんの言いたいことが分かりましたっ!口移しで食べると尚美味しくなるって事ですね!……はぁい…」

「なっ…、四ノ宮やめ…っ」

有無を言わせまいと、なっちゃんは真斗に近づく。逃げようとする真斗の顔をがしりと両手で掴みそのまま接吻。

『うわ…っ』

「あぁ…っ」

「んんん!!!ま、まず…っ」

私と音也は今、リアルホモを目の当たりにした。こりゃあドン引きもんだな…っ。なっちゃんは口の中のメロンパンを真斗の口内へ送り込んでいる。くちゃりと聞こえる粘着音がリアル過ぎて鳥肌が止まらない。なんか、真斗なんて、メロンパンの不味さでか初の男同士のキスでか、死にそうな顔してるし。いや、どっちもかな。真斗…御愁傷様…。…あ、何かいま頭の中でチーンって聞こえた。

「ふぐ…っ」

『あれ…?ま、真斗…っ?』

「マサ!?」

二人の唇が離れた途端、真斗は奇声をあげながら倒れてしまった。……それほどショックで、メロンパンが不味かったようです。

「あちゃあ…、マサ気絶しちゃった…」

「真斗くん…!!気絶してしまう程美味しかったんですね…っ!」

なっちゃん…違うと思う…。

喉まで出かかった言葉をゆっくり飲み込む。

『真斗……最悪な誕生日になっちゃったね…』

私はそう呟き真斗を介護したのだった。







(うぅ…)

(マ、マサ魘されてる…)

((真斗…))

(真斗くん、早く起きてくれませんかね〜)

─────────





ダム様おでめとォオォッ!!!

雑に見えるのは気のせい!

スランプなうなので許して下さいっ(土下座



あ、はい…。

言い訳乙ですね…っorz





2012.12.29

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ