短編
□バトルタイム
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「リューヤさん」
「…あ?」
『むぐっ?』
早乙女学園、昼休みなう☆私は二人以外誰もいない職員室、龍也先生の隣でおにぎりを頬張っていた。そんな中ガラッと扉が開き、誰かが龍也先生に話しかけてきた。誰かと様子を伺えば、同じクラスの神宮寺レンではないか。
「レディが隣で食事中とは…。珍しいねぇ」
「コイツがしつこいからしょうがなく、だ」
『っ(ゴクッ)え、それひどっ』
慌てて口の中の物を飲み込み、龍也先生に意義する。
たしかに私が無理やり隣に座ったんだけれども!!そんな邪険そうにしなくてもいいじゃないか。そう思い、「チッ」と小さく舌打ちした。
「でも、リューヤさんなら無理やりにでも断れたんじゃないかい?」
「……なにが言いたい」
『っ!!』
ギロリと睨む龍也先生の目はまさしく元ヤンそのものですっ。ていうか、二人って何で合う度に喧嘩腰なんだろ。私はバチバチと火花を散らす勢いで睨み合っている彼らに問いたいです。
「別に?まあ、それが言いたくて来たんじゃないんでね。」
「だったら、さっさっと用件を言え。」
「リューヤさんに決闘を申し込むよ」
「なに…?」
『え!?』
決闘すか!?どんな風の吹き回しだ。
「どんな風の吹き回しだ」
あ…、私が思ってた言葉言った。
「別に?ただ勝ちたいだけさ。リューヤさんに、ね…」
「…俺はな、売られた喧嘩は買う質(たち)だ。後で後悔しても知らねぇぞ。」
『えぇ、そんな展開…?』
一体どうしたんだ、神宮寺レン。急に決闘なんて…。ていうか、なにで勝負するんだ。はっ!もしかして拳と拳で…!?そんな事を悶々考えていたら龍也先生に声をかけられた。
「なにさっきから百面相してんだ。」
「大丈夫だよレディ、拳と拳で戦ったりしたいから」
どうやら、思っていた事が顔に出ていたらしい。おかしいな、私は内心は荒ぶってるけど、みんなからはポーカフェイスって言われてるくらい顔は固いはずなんだけどなぁ。まあ、嘘だけど
『じゃあなにで戦うの?』
「そうだね。まず、3回戦で分けるとしよう。いいよね?リューヤさん」
「ああ、俺は構わない」
「ありがとう。内容だけど…。一回戦は【ポケモン通信対決】、二回戦は【太鼓の達人DS通信対決】、三回戦は【早口言葉対決】だ」
『……。』
「ああ、いいじゃねぇか」
「そうだろう?」
「いい勝負になりそうだ」
あれ、龍也先生突っ込まないの?あれ、私がおかしいの?あれ、こんなのでいい勝負になるの?あれれ。
「それでリューヤさん。ただ勝負するだけじゃつまらないだろう?」
「あぁ?そうか?」
「勝った方には、ご褒美が貰えるってのはどうだ?」
「ご褒美…だぁ?」
『ご褒美…?レン、以外と凝るね』
「当然さ。で、ご褒美はレディの口付けってのはどうだい?」
『は?』
神宮寺レンは私の顎に指を添え、くいっと上に向かせる。普通は絵になるような格好な筈だが、私とレンの身長差が激しいから首が無駄にいたいのだ。回りから見たら痛々しい光景だろう。
『く…っいてぇ…』
「ふふ」
「なまえの口付け…。ふざけるなよ神宮寺レン。コイツは勝負に関係ないだろ。」
「リューヤさん、もしかして負けるのが怖いのかな?俺にレディの唇が奪われるのが嫌?」
「…調子に乗るな。」
「おー怖い怖い。」
「……その内容、受けてたつ。」
「そうこなくっちゃ」
『あれ、私には拒否権はないのね』
「じゃあ、場所を移そうか。音楽室でいいかな?」
「どこでも構わねぇ」
『あ、待って!片付けるからっっ』
「そんな慌てて片付けなくていい。ゆっくりで大丈夫だ」
『ありがとう龍也先生っ』
そそくさとゴミ等を集めたりして片付け、そのまま音楽室にレッツラゴー。
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『それで、肝心なDSとソフト、早口言葉の例は?』
「ふっ…準備は出来ているよ」
不適に笑って見せると近くにあった黒い布をバサァッと引っ張った。
「『!!』」
そこには2台の3DSLL、またもや2台のゲームボーイアドバンスとソフトの【ポケモンレッド】、【太鼓の達人七つの島の大冒険】、早口言葉集と書かれた本が現れた。
『…あんま驚くような物じゃねぇや。』
ただ気になるのは、何故ポケモンはそんな一昔前の物なのかだ。普通、DSがあるんだからそこはプラチナとかにしようよ。なんでそれをセレクトしたかなぁ。
「さすがだな…。準備が早ぇ」
『あ、うん。ソウデスネ』
「よし、一回戦はポケモン通信対決だな?」
「そうさ。レディ、君は危ないから下がって。」
『はい?』
【君は危ないから下がって】?ポケモン通信で【君は危ないから下がって】だって?
はぁ…まあいいや。意義するのも疲れるので大人しく少し二人から離れる。
「なまえ、オレは君の唇の為に勝つよ」
『ガンバレ〜…』
「はっ、簡単にはさせるかよ」
『龍也先生もガンバレ〜…』
*
『………。』
「オレが負けた…っ?」
「俺が負けるわけがねぇだろ。お前はまだまだ甘ぇんだよ」
『………。』
ねぇ、神宮寺さん。なんでなの?ねぇ、なにがしたいの?神宮寺さん。どうして、コイキングの「はねる」しか使わないの?ねぇ。「しかしなにもおこらなかった」って書いてるよね?分かる?そりゃ負けるに決まってるよね?「いけ!!!コイキング!「はねる」だ!」なんて、そんなイケメンボイスで言われても。かっこよく言われても。
それに対して龍也さんかっこよかったな。ただね?どうして、あなたもコイキングを選択したの?もっといいポケモンいたよね?
…この二人よく分かんなくなってきた。
「リューヤさん、次は負けない…っ!次は太鼓の達人で勝負だ…っ」
「はっ、かかってこいよ」
『レン、そんな悔しそうにするなら…』
――はねる なんて使わないでよ…。
(七つの島のだぁいぼぉけ〜ん♪
(通信たいせぇん☆
(曲を選ぶドン!!
『……』
これはいい勝負になると信じよう。
「曲はオレが選んでもいいかい?」
「おう、レベルはかんたんで頼む」
「言われなくてもそうする所だったよ」
『いや、そこはおににしろよ。』
多分、今の二人に何を言っても聞いてくれないだろう。はあ、とため息をつき地面にしゃがみこむ。すると二人がゲームを始めたのか曲が流れ出す。……この前奏聞いたことあるー…。なんだっけ…。
(こっころの中 いつもいつも描いてるぅ〜\描いてる〜/
(ゆっめを載せた 自分だけの世界地図ぅ〜
\タケコプタぁ〜/
『ドラえもんかよぉおぉ!!曲センス!!!!!!』
「なまえ、うるせぇ!」
『なんでこれ選曲したのレン!』
「メジャーでいいじゃないか」
取り敢えず二人のDSを覗き込んでみればあら不思議☆ミスりまくってますねー。二人共アイドルだよね?レンはまだだけど。このリズム感のなさっ!まあ、二人ともいい勝負になってますよ〜
「あっ、くそ!!いま叩いただろうがっ!ぶっ壊すぞこのゲーム!」
『龍也先生、出てる出てる。本性出てるから。』
結果、レンのギリギリ勝利。
まさか、低レベルでこんな苦戦するとは思わなかったな。
『最後は早口言葉対決だね。』
なんか、私の唇かかってるけどもうどうでもいいや。早口言葉集を開き、いいなと思った奴を指差していく。最初に選んだのはこれ。
『かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこむぴょこぴょこ』
うん。さすがの私でも言えた。簡単だし普通か
『じゃ、まず龍也先生から〜』
「ああ、かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこむぴょこぴょこ」
『おー、さすが!レンどうぞ〜』
「任せて、レディ。か、かえるぴょこぴょこみぽこぽこあわせてぴょこぴょこむぽこみょこ」
『おうふ…』
かっこ悪い…かっこ悪いよ神宮寺レン…っ!!!そんなどや顔で言われたら私の良心が痛むじゃないかっ!
『つ、次は東京特許許可局局長』
あれ、私普通に言えた!!!ちょっとびっくり。
「東京特許許可局局長」
『はやっ』
「とうきょうとっきょきょきゃきょくきょくぢょう」
『あ、うん…』
もう、神宮寺レン黙れよ…。きょくぢょうってなんだよ。
『もう、終わろう…。昼休みももう終わっちゃうし…』
「そうだね、レディ…」
「…じゃあ、俺の勝ち、か…?」
『はい、そうみたいですね…』
「じゃあ…」
『煮るなり焼くなりしてくださいよ、もう…。…っ!』
そう言った瞬間、ぐいっと腕を引かれ唇に柔らかい何かが触れた。目の前には龍也先生のアップ。すぐにキスされている事に気付く。触れるだけかと思えばどんどん深くなるキス。
『んんんっ!?』
「ヒュ〜。見せつけてくれるねぇ」
「んっ」
『んは…っ…はあ…はぁ…』
「ごちそうさま。」
『え、ちょ、』
そう告げるなり、龍也先生は音楽室を出ていってしまった。
「じゃあ、オレも行くよ。次は負けないよ?その唇奪ってみせるよ」
『え…』
しんと静まり返る空間に一人取り残された私。
『なんなの…?しかも次って…!?』
誰も答えることなく私の声だけが響き、虚しく消えていくだけだった。
-END-
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16000のキリ番を踏んだ菜乃夏様に捧げます!
レンと龍也さんがバトって結果龍也落ちのギャグ話
と言うことでこんな出来になってしまいました…orz
ホントはかっこよくしたかったんですが…
ギャグとなるとどうしても
ハジケてしまいますね・・・←
こんなんで良かったら、またいつでも( ^ω^)_凵 どうぞ
2012/11/11