短編
□セシルばーすでぃ
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「なまえ」
『なぁに、セシル』
「今日はなんの日か知ってますカ?」
『ああ、ハロウィンでしょ?』
「NON…」
『今は忙しいからお菓子は後でね。ほら、しっし』
今日は10月31日。世に言うハロウィンです。だけど毎日が仕事仕事な私はそんな甘いイベントには参加出来ないのだ。質問にそう答えればセシルは何故かしゅんする。
「なまえ…。本当に分からないのですか?」
『さっきから何言ってるの?遊んで欲しいのは分かるけど、さっきも言った通り、私は忙しいの』
「なまえ…。今日はワタシの…」
『ほら、そこで大人しくしてなさい。』
何かをいいかけたセシルの言葉を遮って大人しくするよういい放つ。すると彼は少し泣きそうになりながらも指示に従った。そんな姿を見てると少し罪悪感に襲われる。
ごめんねセシル。本当は今日、何の日か知ってるんだよ。でも、後ちょっと…ちょっとだけ。
そう心に言い聞かせ携帯を取りだし音也にメールを送る。
ちらっとセシルの方を見れば相変わらずしゅんとしている。そしてちょっとふてくされているようだ。そんな姿に何故かきゅんとしてしまう私。だって可愛すぎるんだもん!!!!こんなセシル、滅多に見られないし…。
〜♪
『お』
着信が鳴り、そそくさと部屋を出ようと席を立つ。
「なまえ、どこへ行くのですか?」
『あぁ…。うん、ちょっと…。すぐ帰ってくるから!!!』
案の定、声をかけられたがなんとか誤魔化して部屋から出た。行き先は音也の部屋。近くに着くと音也が出迎えてくれた。そのまま、彼の部屋へ。
『おお!いい感じになってるねぇ』
「へへっ、みんなが帰った後も一人で頑張っちゃった」
『さっすがぁ!トキヤが見たらびっくりするだろうなぁ。で、みんないつ来るの?』
「もうすぐ来ると思うよー」
部屋はきらびやかに装飾されていて、テーブルの上にはケーキやジュース、食べ物などで埋め尽くされている。
数分後、ノック音が聞こえ、ドアを開ければ那月、翔、真斗、レンの姿。
『あがってあがって〜』
「ここはお前ん家か…。まあ、お邪魔しまーっす」
私の言葉に即様に突っ込みを入れた翔ちゃんはきっと大物になるに違いない。
まあ、みんなお察しの通り、これからパーティーをするんです。もちろんセシルのバースデーを祝って。
「レディ、当の主役はまだかい?」
「主役が来なくては始まらぬぞ」
『あ、今から呼び出すね』
そう言い、携帯を取りだしセシルの携帯へ電話をかける。
『もしもーし、セシルー?』
「…YES…」
『今から音也の部屋に来れるー?』
「…何故デスカ…?」
『いいからいいからぁ』
「……。」
ありゃあ、これは相当拗ねてるなあ…。
『セシルくぅ〜ん?』
「今から行きマス…」
『うん。待ってるからね!』
プチリと携帯を切り、音也達に向かってピースサインをだす。
「では、さっそく準備をしましょう!」
『準備?準備ならもう終わってるじゃん』
「お前バカだな。サプライズには欠かせねぇものがあるだろ」
『…?』
「他に何かあるのか?プレゼントもバッチリだぞ」
「聖川…。」
「む?なんだ神宮寺。」
「まあまあ!ほらなまえ、これ!!」
喧嘩を始めそうな御曹司組を宥め、音也は私に何かを差し出す。
『クラッカー?』
「そうです。これを使ってセシル君を驚かせるんです!」
なるほどね。
クラッカーを受け取り、さっそく玄関へ向かう。そしてクラッカーをスタンバイ。みんなももう準備万端なようだ。
しばらくして、カチャリとドアが開く音がした瞬間クラッカーの紐を引っ張る。パンパンと盛大な音を立てた後、みんなで声を揃え「誕生日おめでとう!!」と祝福の言葉を浴びせた。
「な…!?」
…が、そこにいたのはセシルではなく、一ノ瀬トキヤ…。
『って、お前かよ!!!!くそったれぇ!』
「な、なんの騒ぎですか!?」
『まあ、いいや!ぼちのせ、早く入ってドア閉めて!あとこれ持てハゲ』
「すごい暴言ですね…。」
『はいはい!説明は後でしてあげるから』
慌てトキヤを中に入るよう促し、クラッカーを持たせる。みんなにも新しいクラッカーを渡し、再びスタンバイ。そしてカチャリとドアが開く音がした瞬間クラッカーの紐を(以下略)
「…っ!?」
次は上手くいき、予想通りセシルは驚いている。
『ハッピーバースデー。さっきはあんな態度とっちゃってごめんね。はい、これプレゼント!私と色ちがい!』
「…っ」
私からのプレゼントは黒い猫のストラップ。因みに自分のは白い猫。
「はい。俺からも!」
「音也…」
「俺からもだ。受け取れ」
「ふふっ。僕はクッキー作って来たんですよ〜」
「那月っヤメロ!!!セシル、食うんじゃねぇぞ!」
「…?」
「オレからはローションをプレゼントするよ。」
『レン。お前調子乗んなよ』
「おや。手厳しいね」
「あ、俺様からもあるぜ!」
『トキヤは…?』
「私からは…。今、手持ちがこれしかないので…これを」
『こ、コン●ーム!?なに、そんなもの持ち歩いてるんだよっ!』
「どうせ、今夜使うんでしょう」
『大きなお世話だ!』
「まあまあ」
「ミンナ…」
ぎゃあぎゃあ言い合って、ちらっとセシルの方を見れば先ほどの表情はなく、目は少し涙ぐんでいた。
喜んで…貰えたかな?
「では、パーティーとやらを始めようではないか。」
「そうですね〜。セシルくん入って下さい〜」
「…YES…」
その後、みんなでケーキを食べたりちょっとしたゲームをしたりと楽しく過ごした。あ、もちろんレンとトキヤには必殺アンパンチをお見舞いしましたよ。ええ。
「ちょ、音也!そればっかり食い過ぎだ!」
「いいじゃんべつにぃ」
「音也、あなたはピーマンをちゃんと食べなさい」
「…えぇ…」
「それと、皆さんはこれが終わったらきちんと片付けをして下さいよ。」
『へいへいー。てゆうか、何で今日に限って早く帰ってきたんだ。』
「何か問題でもあるんですか」
『イエ。アリマセン』
トキヤには度々愚痴られイラッとしたが、ぼちのせだから許してあげる事にした。そして彼を無視してセシルの元へ向かう。
『よかったね、セシル』
「YES。ありがとうなまえ」
『どういたしまして!』
「なまえ、もうちょっと近くへ…」
『え?うん』
そう言われ、セシルの隣に腰かけた。すると次は「目を閉じて下サイ」なんて言うから疑問に思いつつ指示に従う。
『閉じたよー。まだ?』
「…ちゅ」
『…っ!!!』
唇に感触を感じ、目を開ければセシルの顔がアップで写し出される。
『なっ、ななな…!』
「お礼デス」
唇が離れたと思ったら次はぎゅっと抱きしめられる。慌てて距離をとろうと思ったが、思ってた以上に力が込もっててそれが叶わない。横を見れば、みんなこちらを見ているではないか。
『み、みんな見てるっ!!』
「関係アリマセン」
『いやいや!』
「ヒュー、熱いね〜。」
「二人とも仲良しさんですねぇ〜。僕も……ぎゅうっ」
『ぐへ』
「な、那月!なにやってんだ!」
「いいなぁ…。俺もぎゅうってしたい」
「やめなさい、音也」
こうして、楽しいセシルのバースデーパーティーは幕を閉じた。
(なまえ!俺もちゅーしたい!)
((こっち来んな野良犬))
(で、では俺と…!)
((お前もかダム斗))
(NON。なまえは渡しまセン)
-END-
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ST☆RISHでセシルきゅんの誕生日を祝って貰いました!
思ってた以上に小説が長くなって
自分でもびっくりしております。
まあ、セシルきゅんはぴばぁあぁ☆
2012.10.31