蒼色音色

□第二章
1ページ/1ページ


『あっいたいた!ーっと他にも沢山いる!』


龍也に連れてかれた場所には、春ちゃんの他にも何人か人がいてその周りを他生徒が様子を伺うようにぐるっと囲んでいる


『はーるちゃん!』
「あっゆいちゃん。良かった、迷子になってないか心配しました」
『ごめんごめん。八郎くんという少年に出会ってさ〜…って、どうしたの?これ』
「それが…その…」


輪の中心にいたのは、真斗くんと肩にかかるくらいの長髪長身の綺麗な男の子


なにやら険悪ムードってやつ?


そして周りには、音也くん、那月くん…
あと背の小さい可愛い生意気そうな金髪の男の子と、私は一匹狼ですぅみたいな顔したHAYATOそっくりの男の子


あれっ、もしかしてこの3人って…



「お前らか…」
龍也がふぅ、と横で溜息をついた


『ねぇ龍也、もしかしてこの3人ってぇ〜…』
「おい、お前!日向先生を呼び捨てにするなんて…って!お前もしかして神園ゆい!?」



おチビくんのでっかい声に喧嘩してた2人を含めて周りにいた人皆が一斉に私を見る




『お前とはなんじゃーー!!ゆいをお前呼ばわりしていいのは龍也だけなんだぞっ!ねぇ、龍也?』
「誤解受ける言い方すんなっ」


ぱかんっと頭を叩かれる

でも本当のことなのに…




「もしかして日向先生と知り合い…なのか?」
『うん、だって同じ事務所のアイドルだし。ゆいも一応君の先輩なんだけど?』

初対面でお前呼ばわりされて、ちょっとムッとする

「あっごめ…俺は…」
『来栖翔でしょ、おチビくん』
「え?なんで俺の名前…って!!チビって言うな!」
『あとそこの2人がトキヤくんとレンくん…かな?』
「! 何故私の名を…」
「これは驚いたね…あの人気アイドル神園ゆいが俺の名前を知ってくれてるなんて光栄だな」


レンくんが私の手を取ってキスしようとする


ーーぱしっ!


龍也がレンくんの手を止めて鋭い眼差しで睨む


「…おっと」
両手をあげ含み笑いをして一歩下がる


『えーっと…』
「ゆいが気にすることはない。女性に気安く触れるコイツの神経がおかしいのだ」

わぉ、意外に辛口!

「ふっ…モテないからって僻むのはやめろよ」
「全く馬鹿馬鹿しい。私は教室に戻らせて頂きます」


『おーっと!待った!挨拶くらいしようよ!?』
「何故です?」
『え!?何故ですって何故です!?』
「貴方は私の名前を知っている、私も勿論貴方の名前を知っています。今更自己紹介の必要もないでしょう」
『え〜?名前しか知らないじゃん。趣味とかさぁ〜』
「読書…です。失礼します」


『あっ…行っちゃった。冷たいんだか律儀なんだかよく分かんない子だなぁ〜〜』
「トキヤはクールだけど良い奴だよ!俺トキヤと同室なんだけど、入学式前に荷物運んでた時何も言わず手伝ってくれたんだ」
『へぇ〜ツンデレ属性なのかな?』
「ツンデレ…??」
『あ、ううん。こっちの話!』


「それなら翔ちゃんがそうですよ!ツンツルテンの王子様なんです!」
「ツンツルテンってなんだよ!ツンデレだろ!?それじゃ俺馬鹿王子みたいじゃねーか!」
『違うの?』
「ちげーよっ!」
「財閥跡取りの王子様ならいるけどねぇ…Aクラスだけど」
「すぐに挽回してみせるさ」
「ふっ…期待せずに待ってるよ」


『ほんと仲悪いんだねー』
「まぁね」
「ああ」
「お前…じゃねーや。ゆいは直球だな」
「素直でキュートです!」
「那月は素直すぎると思うよ」


「ところでゆいちゃん」
『ぬ?』
「教室で見かけなかったけど…もしかしてAクラスなのかな?」
『そうだよん♪』
「えっお前人気アイドルなのにAクラスなの!?」


『むぅぅ〜またお前って言ったなああ〜…』
「あっやべ…」
『こうしてやるーーー!!!!』

ぐしゃぐしゃぐしゃー!
と翔の頭をもみくちゃにする

「わぁ♪僕も混ぜてくださぁい」
「わあああっやめろーーー!」


「紹介が遅れたね、子猫ちゃん」

すっとレンくんが近づいて軽くお辞儀をされる

『子猫??』
「おま…じゃね。ゆいのことだよ。コイツこういう奴なの!マジで言うからびっくりするよなぁー」
『えっゆいが子猫!?』
「くだらん…」


「知ってるみたいだけど、俺は神宮寺レン。Sクラスでゆいちゃんとはクラスが違うけど寂しくなったらいつでも俺に会いにおいで」

パチンッとウインクされる

わぉ。話に聞いてた通りのフェミニストっぷりっすなぁ〜。



『ども、よろしく!』

「あーっと…俺は来栖『あ、翔はいいよ』
「おいっ!!聞けよ!」

『冗談じゃーん!反応いいなぁ〜』
翔の頭をなでなでするとちょっと顔を赤くした
あれっ?可愛いとこあるじゃん



「〜〜くっ!頭なでんな!」
『はいはい♪』

「俺は来栖翔!Sクラス!ひゅ…」

ちらりと龍也の方を見る

『ん??』
「日向先生みたいなアイドルを目指している!」

そう言った翔の声が大きくなった
なんか決意表明された感じ。



「ほぅ…」
にやっと龍也が笑う

龍也嬉しそう!


『良かったね、龍也♪』
小声で言うと

「うるせっ」
と言いながらもちょっと頬を赤くして口元が上がってる



「あとっ家来募集中だ!!」
『はぁ?』
「おチビちゃんこそびっくりだよ」
「チビって言うな!」

「翔ちゃんは王子様なんですっ!だから王子様の家来になる人募集中ってことなんですよっ♪」
『あっそう…なんだ。よく分かんないけど、その紹介したってことはゆいに家来になれって言ってんの?』



「お、おう!してやってもいいぜ!」

なんか凄く嬉しそうに笑ってるんだけど殴っていい?


『あ〜〜〜〜…………………………。うん、考えとくわ』



「おい!!なんだよ、その間は!」
「普通家来になりたがる人なんていないと思うよ、翔」
「おチビちゃんは夢見すぎなんだよ」
「そうですかぁ?僕はとっても素敵だと思いますけど」
「わ、私も…素敵だと思います!翔くん!」
「そんなことよりそろそろ昼休みが終わってしまうのではないか」





『………。
ぷっ……あははははっ!!』


「?」
「どうしたの、ゆい?」



『話に聞いてた通り!君達面白いなぁ…私あの課題君達とやりたい♪』


「あっバカ…!」

龍也がすぐさま私の口を塞いだけど、遅かった


「あの課題…?」
「何の事…?」


『あっれっ!もしかしてまだ生徒に知らされてない内容だった?いっけね☆』
「極秘に決まってんだろ!馬鹿!!」
『ありゃ〜ごっめーん☆』


「なんかゆいって…」
「とっても面白いですね!」
「ふっ…おちゃめなとこも可愛いね」
「く、口の軽いアイドルもいるのだな…」
「ってか反省してんのか?お前」
「ご、極秘情報だったみたいですけど…大丈夫でしょうか?」



「ったく…これ知ったらあの社長が何ていうか…」
「んNO〜〜〜〜〜!!プレブレム!なのよう〜〜〜〜!!!!」


「げっ、出やがったな」
「が、学園長…!!」
『あっ社長〜お久しぶりっす!』


「ちょっと予定より早いですがぁバラされてしまっては仕方アーリマセーン!!極秘課題!
その名も"南の島でYOU達作曲しちゃいなYO!合宿"明日決行デーース!」


周りで食事をしていた生徒達も皆唖然としている

額に手をついて龍也が
はぁ…、と深い溜息をついた


「み、南の島…!?」
「作曲って俺達まだ入学したばっかだぜ…?」


「詳しい説明は龍也サーーン!お願いしちゃうのよ〜〜〜!!」


「はいはい…。
あーじゃあ簡単に説明すっから聞け。
その名の通りお前らには南の島で合宿しながら作曲をしてもらう。期限は2週間!クラスは関係なく好きな奴と組んで作曲していい。
当然、作曲した曲は合宿最終日に全員発表して貰い点数を付ける!」


「発表ってことは作った曲歌えるんだね!うわぁ、楽しそう!!」
「必然的に作曲家志望とアイドル志望が組むわけだな」


「その通り。ちなみに一緒に作曲するのは何人でも構わないが、今回はそのメンバー全員と2週間一緒の部屋で生活して貰う!」


「それって…俺とレディ、子猫ちゃんが一緒でもかい?」
「おい。お前3人でやる気満々だろ」


「そうだ!」


「なっ…!い、異議あり!!男女が共に一つ屋根の下で寝泊りするなど不謹慎ではないのですか」
『わ〜真斗くん顔真っ赤〜♪』


「一緒に生活を共にすることによって見えてくるものもあんだろ?作曲ってのは相手を理解してこそ良い曲が出来るもんなんだよ。
どうしても嫌ならお前は男とだけ組めばいいだろ」


「男とだけなんてそんな華のない空間…俺は絶対ごめんだね」
「僕は翔ちゃんとも一緒にやりたいです♪」
「俺はお前と2人なんて絶対嫌だからな!」

「し、しかし…」


「学園長が決めたことだ。今更お前や俺がなんと言おうと覆らないんだよ、諦めろ。ああ、男女混合は構わないが…勿論、恋愛禁止令は変わらないからな。」



「その通りデース!!私が決めたことは覆りませーーん!そんなわけで皆明日から頑張ってチョーダイ!!アデュー!!!!」



ガシャーーンッ!!!


と食堂のガラスを粉々に割って学園長は消えていった





『いやぁ〜楽しそうな課題だよね〜!!ゆいワクワクすっぞ!!』

「あのなぁ…お前が口滑らせたせいで卒業間際の課題が入学すぐにまで早まっちまったんだぞ!?現役アイドルのお前には楽勝かもしれないが…他の生徒には難易度高すぎる課題だ。ちったぁ反省しろ」


『えっと〜…ごめんね?
お詫びに南の島では皆にゆいが裸エプロンでご飯作っちゃうぞ☆』


「ええっ!?」
「なっ…!」
「ゆ、ゆいちゃん…!!」
「ヒュゥッ♪」
「わぁ〜楽しみですね♪」
「"わぁ〜楽しみですね♪"じゃねーよ、バカ!!お前も変な発言すんなっ!」


パカンッ!!

と今度は龍也と翔に左右から同時に頭を叩かれた



『いてて…まぁとにかく決まってしまったものはもう後戻り出来ないんだからさ!皆で力合わせて頑張ろうよ!!
うん、ゆいさん良いこと言った!!』

「お前…凄い切り替えの早さだな」


『くよくよしないのがゆいさんの良いところなのだ!
そんなわけでぇ…君達7人、ゆいと組んでよ!』



「!?」
「な、7人…?」
「えっと俺とマサ、那月に翔、レン、春歌……あと1人は?」


『君の同室くん♪』


「と、トキヤも…!?」


『そ♪』




.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ