Cross†Dream

□第一章
1ページ/1ページ




『んん…』



カーテンの隙間から差し込む太陽の光で目を冷ました。見慣れた天井が映し出されハッとする。

今何時だ…?

時計に目を向ければ、針はすでに11時を指していた。休みだからといって気を抜き過ぎていたようだ。



『………。』



軽く屈伸をし、ベッドから降りる。



『吸血鬼(ヴァンパイア)…。』



この世界には人間と吸血鬼が共存している。もちろん音也はごく普通な人間である。



『人間でも吸血鬼になれる…か。』





――――――――





< は俺の事好き?>

<もちろんです。>

<俺も!じゃあ、 はずっと俺と一緒?>

<ずっと…>

<…いてくれないの…?>

<私は大丈夫なんですが、あなたが…。>

<俺が…?>

<音也…、私は吸血鬼なんですよ?>

<うん、知ってるよ!!>

<……………っ。>





――――――――





音也が小さい頃、好きな男の子がいた。

大好きで大好きで堪らなくて、離れていくのが怖かった。だから会う度に「ずっと一緒?」等と気持ちを確かめるばかり。だが、彼はその度悲しい表情をする。その時は何故なのか分からなかったが数年後になりやっと理解した。吸血鬼は永遠を生きる存在。ずっと一緒に居られないのは音也の方だ。

だけど気付いた頃、隣にはもう彼の姿はない。





―――今じゃ、彼の名前や顔すら思い出せない。それでもまた会いたい…。





そう強く願っていた。





















『さてと、課題も終わったし、気分転換に外に出てみようかな!!』

時刻は午後7時。外は薄暗くなり始めている時間だ。音也は近くにあった【紙】を取り、ポケットへ滑らせ外へ出た。





『んー…ちょっと肌寒いかな。はぁ…。それにしても…』



かさかさと先程ポケットに忍び込ませていた紙を取り出す。 先日、吸血鬼の長から受け取った物だ。そこに書かれているのは《聖川真斗、四ノ宮那月、一ノ瀬トキヤ、神宮寺レン、来栖翔》と、5人の名前だけ。



『どうやって探しだせばいいんだよ…。名前だけじゃなぁー…』



音也ははぁっとため息をつき再び紙をポケットにしまう。ふと、空を見上げれば妖しく光る満月。いつもは何とも思わない物に、何故だか今日は魅入ってしまう。



『今日は満月か…。綺麗だな…』



夜空を見上げながら歩いていた音也は、前方から来る人物に全く気付いていなかった。



「お前が、一十木音也か。」

『うわぁ!!あ、はい…っ。誰…?』



気配、全く感じなかったよ…。



「聖川真斗だ。」



真斗と言う男はパッツンな青い髪で、整った顔立ちをしている。その中には色気も感じられ思わず見とれてしまう。年は音也とそう変わらないくらいだろう。



『って聖川真斗!?』



ハッとし、先程仕舞ったばかりの紙を取りだし名前を確認する。そこにはしっかりと「聖川真斗」と書かれていた。

この人も吸血鬼なのか…。案外簡単に見付かったな。でも、なんで俺の名前…。



「日向様から話は聞いている。お前は吸血鬼になりたいのだな?」

『う、うん』

日向さんから聞いたのか…。じゃあ話は早いのかもしれない。

「吸血鬼になるための行為は知っているな?」

『…っ!!しっ、てます…。』

「そうか。そうだ、長くない仲だが、俺の事は気安く呼んでくれ。」

『あ、じゃあ。真斗だからマサで!』

「…構わん。」



音也の笑顔で、不覚にもときめいてしまう真斗。少し頬が赤い。



『それで…。』

「ああ。一十木、心の準備は大丈夫か?」

『大丈夫…!!吸血鬼になる為なら…。』



<二つは、奴等とSEXをして精液を受け、吸血される事だ。>

ふと、長からの言葉が頭を過る。



「…お前は、何故(なにゆえ)吸血鬼などになりたいのだ。」

真っ直ぐに音也を見据え、訊ねる。すると音也は視線を下へさげ、弱々しく言った。

『よく…、分からないけどならなきゃいけない気がするんだ。』

「………。」

『って、そんな変な勘で吸血鬼になりたいなんて、おかしいよね』



ははは、と渇いた笑いを溢す音也に真斗はただただ、静かに彼を見つめていた。













『あ、あの…さ。うち近くだからさ、そこでいい?』

「ああ。」

『じゃあ、行こうか』

「一十木。」

『ん?』

目的地へ向かおうと足を踏み出した時、名前を呼ばれる。

「忘れぬうちに渡しておく」

『何?これ』



真斗が渡したのは地図のようなもの。

「他の奴等の居場所だ。探すのは大変だろうと思ってな。」

『あ、ありがとう!!!』

「…礼には及ばん。」



そう言って真斗は小さく微笑んだ。



そして二人は再び足を進め目的地へ向かった――――。

正直な所、これから行う行為を考えると少し怖い。だけどそんな事を思っていては先へ進めない。そう思い、音也はふるふると頭を横にふり、何も考えない事にした。

時々、真斗に「大丈夫か」と訊ねられたが音也は「大丈夫だ」といい続けたのだった。













あとがき↓

―――――――――――







ダム様が龍也さんを「日向様」呼びw

まあ、龍也さんは吸血鬼の長なんだから仕方ない☆←

あぁ、早くダム様と「アーッ♂」せたい!!

次こそは絡ませるぜィ(`・ω・′)

続きをお楽しみにー









2012/10/31

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ