長編

□見上げた空 6章
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総司Side


あの日以来、僕は土方さんに会っていない。

土方さんは今頃仕事をしているのだろうか


そう考えながらのんびりと橋を渡る。




「(あれ…この河原は)」



僕が新撰組だったころ、子供達と遊んだ河原、そして何よりも…




夏に皆と水浴びした河原が流れてる


丁度今の時期だったかな、と思いながら橋の手すりに手をつき眺める。


するとその時


「…総司?」


聞き覚えのある声



恐る恐る後ろを振り返ると




懐かしい友人…平助がいた


「平…助」

「っお前どこにいたんだよ!!ずっと探したんだぞ!?」


滅多に怒らない平助が怒りをあらわにして僕に詰め寄る。

平助のもう少しで触れそうになった手を、衝動的に払いのける


「…総、司?」

「貴方、誰ですか?」


すると平助の顔が絶望の色に染まる


僕はちゃんと笑えているのだろうか?


「総司…」

「…」


逃げなきゃ

逃げなきゃって思うのに、足が震えて走れない

「総司」

「っ落ちますよ?」

また平助の手が伸びてくる

危険を感じたのか動かなかった僕の身体は自然に手すりの上に登った


…それがいけなかった


「っ何してんだよ!」

平助は僕の足を掴もうとした

自然と僕の身体は後ろへと下がる


しかし一歩下がっても踏み場は無くて…


「あ、れ」

気付いた瞬間には手を思い切り伸ばす平助の後に、大きな水音が聞こえ


次には頭に凄い衝撃を感じ、



そこで僕の意識は途切れていた。




続く…

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