長編

□見上げた空 4章
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嬉しかった。



土方さんが僕のことを探してくれて




だけど…







「許せない…。」

「総司…」

「あっ…何でもないよ、千景」


無理矢理笑みを作ると

千景は僕の腰を引き寄せた


「どう…したの?」

思わず千景を見上げると

一瞬のうちに軽い口づけをされる


「ッん……千景?」

「今、土方のことを考えていただろう」


「…ゴメン」

謝ると優しく…優しく抱き寄せられる


「あいつのことを考えるな…。今やお前は俺の妻だ」

「…うん、そうだね」


壊れ物を扱うように頭を撫でられる。

「ちか…げ」


何故か胸が締め付けられてるような気がした


「総司……我が愛しの妻よ」


僕は…千景のことを裏切ってるのかなぁ?

こんなに大切にしてくれてるのに


まだ土方さんのことが忘れられない。


頭に過ぎるのは、新撰組で過ごした楽しかった日々


「っゴメンね」

「…謝るな」


大好きだよ、千景



なのになぜ

あの人のことが忘れられないの?




なのになぜ





涙が出てくるんだろう。



気付かれぬよに


千景の肩に顔を埋めた






続く…

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