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□電話越し
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『時臣さ、』


「ああ、それでいい、」


<分かりました、時臣師>


時臣さんの部屋から漏れる声、


これは、綺礼?




綺礼とは、余り逢えてない、


正直言うと物凄く逢いたい。



だって恋人同士だから、



そりゃあ、逢いたいと思うのは、悪くないと思う、



だが、今は聖杯戦争中、逢いたくても逢えない


それを覚悟で私は、







けど逢いたいな、




せめて、声を聞くぐらいだったら良い、よね?



静かに時臣さんの部屋の扉を引く、


『時臣さん、』


「ああ、アヤカか、どうかしたのかい?」


<アヤカ?>


驚きを含む声、


ああ、逢いたい逢いたい逢いたい、もう、こんなに思ってるのは、私だけなのかなあ、


「代わろうか?」


『いえ、まだお話の途中……』


「いや、もう終わったからゆっくり話したらいいよ、」


私の言葉を遮って言う時臣さん、


『あ、ありがとうございます!』


「いやいや、」


そのまま立って部屋を出ていく時臣さんを見送って、椅子に座る、


『き、綺礼、』


<アヤカ、>


あ、嬉しいな、名前を呼んでもらった、


でも、話す事は余り無い、


何でかな?もっと話したかったはずなのに、


<元気か?>


スピーカーから聞こえる声、


『うん、』


何で、何でこんなに素っ気ない事になるんだろう、


<アヤカ?>


『あ、わ、私ね、ずっと待ってるから、綺礼に逢いたいの、でも、聖杯戦争中でしょ?だからね、ずっと待ってるから!』


そう言い放ち席を立つ、


そして、そのまま走り去る



声が聞きたかっただけなの、
本当は今すぐ逢いたいの、
でも無理なんだ、


階段を駆け上ると、時臣さんがまだ其処に居た


少し驚いた顔をし、此方を凝視している


「もう、いいのかい?」


『はい、すみませんでした、話しても、変わりは無い筈なのに、』


逢えないん、だから、


『時臣さん、聖杯戦争って何時、終わるのでしょうか、』


「それは、私にも分からない、でもね、アヤカ」


『何でしょうか、』


「聖杯戦争中でも恋人と逢ってはいけないなんてルールは無いんだよ?」


『え?』


驚いて時臣さんを見ると彼は、窓の外を見ていた、


私も、時臣さんにつられ、外を見ると、


「いいんじゃないかな?逢っても、」


其処には、私の逢いたい人がいた、


『き、れい、』


何時もの無表情だけど、少し息が切れている事が此処からでも分かる、

だって肩が上下に動いてるもの、


「アヤカ、」


『きれい、綺礼!!』


直ぐさま、階段を降り、外へ駆け出す、


思い切って抱き付いてみた、綺礼はちゃんと受け止めてくれた、


『綺礼、逢いたかった、』


「私もだ、アヤカ、」


長身の彼は私をすっぽり隠せる程の大きさで暖かくて、


『綺礼、何で此処に、』


「ずっと待ってるから、と言われたら迎えにいくしかないだろう?」


私のために来てくれた事が嬉しくて、また私は、貴方に抱き着く、






これでもう、貴方を離さない、


聖杯戦争中でも、私は、貴方と共にいる、



電話越し


(綺礼大好き!)
(、私もだ、)
(聖杯戦争なんて関係無いね!)
(私は、綺礼とずっと一緒にいるから、)



初綺礼夢は不完全燃焼、
 

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