皆様本がお好きな様で

□工藤直子……あいたくて
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「……やっぱり、何度読んでも感動します…」

本屋にて、休憩時間に詩集を広げながら、呟く。

「何がだ?」

途端、三成さんが横から顔を覗かせてくる。

「……っ!?」

思わず肩がはね、それを見て訝しがる三成さん。

「どうした、戸上」

「ちょっとビックリして……」

実際はすごく驚いたのだけど。

気を取り直して。

「えっと……この詩のことです」

本を三成さん側に向け、読めるようにする。

「『あいたくて』…か」

三成さんが、題名をぽそりと口にする。

「はい、作者の工藤直子さんは童話を良く書かれる詩人でして、
これは工藤さんが講演会の最後によく朗読される詩なのだそうです」

詩は、こうだ。

『だれかに あいたくて
 なにかに あいたくて
 生まれてきた─
 そんな気がするのだけれど
 
 それがだれなのか なになのか
 あえるのは いつなのか─
 おつかいの とちゅうで
 迷ってしまった子どもみたい
 とほうに くれている

 それでも 手のなかに
 みえないことづけを
 にぎりしめているような気がするから
 それを手わたさなきゃ
 だから
 
 あいたくて』
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