非倫理・ボカロ
□日常
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ガラス張りのカフェテリアでパソコンを眺めるスーツ姿の男に、白地の和装の男が歩み寄る。
同じ顔の二人が目を合わせた。
「何だ、(native)ネル帰ってたのか」
「偶々半日空きが出たんだ。で、さっき新幹線乗ったの」
「順調そうだな」
「当然でしょ。そっちは?power」
「ラジオ、DJ、新人教育。あんま変わんねーよ」
「面倒な方は?」
「クソ面倒なのが一件。リンのic頭に縫い付けられた猫の捜索中」
「うわー電波」
「リンの人権上探してやってるけど、マスターは一発殴りたい。」
「(wisper )ウィズは元気?」
「何時も通り。ああ、最近は3人目のカイトと仲良いみたいだぜ」
「あーーー、あのアンドロイドの子でしょ、カイト発売記念で京都に来たわ。あれ自己中過ぎて俺無理だったー」
「お前と違ってウィズは甘いからな。でも、あのカイトも何故〜か特別ウィズに甘いんだよ」
「えーなにそれ」
「なあ、それよりお前ウィズを見てきてくれよ。俺も暫く会ってない」
「ーpower、君にこっちの全てを任せられるから僕は一人で京都に
居られるんだよ?ウィズもそう。」
ぴくりと、眉間に皺を寄せてネルが咎める
「まあ、悪い、解ってる。この前また熱出して倒れててさ。医務室連れてってから忙しくて、何だかんだまだ見舞いに行けてねーんだ」
「・・・ー、そう。」
「それに、あんま俺が行くと平気な振りすっからさあ・・・」
powerは伸びをしてガラス張りの天井を見上げた
鳥の影がふたつ、広いカフェテリアを疾って庭の方に消えるのを何の気なしに見送る
「ー分かった、拙者が会ってくるでござる」
ばさっとネルが立ち上がった。
「ん」
ぶっきらぼうに片手だけ挙げてpowerが見上げ、ネルはくるりと背を向けた。
行き慣れた廊下に独り呟きを落として、進む。
「おんなじ、DNA なんて」
綺麗に三等分されたはずの命。
三人目の自分に会いに行く