SHORT
□会いたい
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「七緒、どっか出かけない?」
そう言って女性死神・松本乱菊は伊勢七緒を誘った。
が、七緒はそれを丁重に断った。
理由は忙しいから。
今、七緒は色んな事を抱えている。
乱菊が帰るのを見送りながら七緒は一つため息をつく。
彼女の上司である京楽は仕事で今は外へ出ている。
副隊長としてしっかりしなければという使命感と、彼に頼りたいという気持ちに挟まれ、押し潰されそうになる。
二つの気持ちの間で、心は揺れ動いている。
けれど、少しの差で使命感が勝つ。
京楽の分のデスクワークに加え、隊員への指示も出す。
正直、体力的にも精神的にも限界が近い。
そして、それは周りに気づかれている。
だからこそ乱菊も声をかけてくれたのだ。
でも、甘えてはいられない。
「伊勢副隊長」
隊員の声に振り返ると同時に視界が歪んだ。
目を覚ますと、目の前には卯ノ花烈と乱菊がいた。
額が冷たいのは氷が乗っているからだろう。
身体を起こすと、激しい頭痛に襲われる。
慌てて乱菊が七緒をベッドへ横たえる。
「ダメよ、寝てなくちゃ。
すごい熱なんだから」
「お前は戻れ、松本……」
乱菊が振り返るとそこには日番谷冬獅郎がいた。
乱菊が慌てて出て行ったため、卯ノ花と二人きりになる。
七緒がじっと天井を見つめていると、卯ノ花が横の椅子に腰掛けた。
「無理をしなくていいんですよ?」
「いえ、私にはこれしか取り柄がないので…」
そう言うと卯ノ花が一瞬、悲しげな表情を浮かべた。
「もし、一つだけ願いが叶うとしたら、七緒さんはどうしますか?」
「京楽隊長に会いたいです……」
そう言って七緒は目を閉じた。
卯ノ花は京楽へのメールに「会いたい 七緒」といれた。
京楽さんの毒にやられた子が一人……。
卯ノ花はクスッと笑った。
『会いたい』
END
ーーーーーーーーーーーーよく分からない文。
やっぱり卯ノ花隊長は二人を応援しています←
タイトルはお題配布サイト「Dear.」の鈴木様に頂いたものです。