黒子のバスケ

□巡り巡って今日も晴れ
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「ああ綺麗だ。けれど涼太、お前も綺麗だ、だからならなくていい」


赤司の言葉に初めて黄瀬の顔が驚いた表情に変わった。
黄瀬と赤司以外は口を開かない、これは赤司の役目だからである。


「嘘、オレなんか綺麗じゃない」

「僕は大切な人に嘘はつかないよ」


黄瀬がまた嘘、と小さく呟いた。
その声は震えていて、少しずつ黄瀬が戻ってきていることがわかる。


「涼太、大丈夫だよ」

「黄瀬ちんおいで」


今まで黙っていた紫原が口を開いた。
そうすれば黄瀬の表情はいろいろな感情でぐちゃぐちゃになり、紫原に思い切り抱きつく。


「助けて紫原っち怖いよ怖いよわかんないよ」

「うん」

「オレはオレじゃなくなるオレってなにオレってなに」

「黄瀬だろ馬鹿」


青峰の声に紫原の胸板から顔をあげた黄瀬の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。


「お前は、黄瀬は、馬鹿みたいに明るくてうざくてよくわかんねぇ奴だけど人懐っこくて優しくて無き虫で負けず嫌いな、オレたちの大切なもんだ」


長い台詞を吐いた青峰はふぅとため息をつき頭をかく。
大丈夫だよ、といいながら。


「涼太、もう帰ろう」

「っ…はいっス」


黄瀬は紫原にごめんねと言えばそっと離れた。
緑間が黄瀬の涙で塗れた頬をハンカチで優しく拭く。


「敦、真太郎、ありがとう。大輝、明日は涼太と1on1をしてあげて。テツヤ、…あとはわかってるね」


赤司は一人一人に笑みを向ければさあ帰るよと屋上をでる。
それに続く青峰や紫原、緑間。
黒子はその背中を見ながら黄瀬に声をかける。

「黄瀬君」

「…」

「手を繋いでいいですか」

「…うん、繋いで」


黒子は自分よりも大きな手に自分の手を重ねて握れば軽くその手を引いて歩きだした。


「黄瀬君」

「何?」

「きっと明日も晴れですね」


返事はなかったけれど、隣で小さく笑うように空気が揺れた。



end


(「黒子っちが言ったみたいに今日もほんとに晴れたっス!!」)

(「はい、快晴ですね」)


(空もボクも君もみんなもきっと晴れ)
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