黒子のバスケ

□傷痕に残るのは君の叫び
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それは魔物との戦闘中のことだった。




「よっしゃ!牙突衝っ!!」

「和成、無理すんなよ…っと砕狼牙!!」


高尾と青峰、二人は共に旅をしている。
今日も今日とて魔物に出会い戦闘が始まっていた。


「大ちゃん、こっちは片付いてき……ッ!!?大ちゃん!!」


不自然に切れた高尾の言葉の後に続いたのは自分を呼ぶ必死な声。青峰はそれを聞いて振り返った。

そこにいたのは、一際大きな魔物。
鋭利で長い爪の付いた拳を降りあげている。



「…あ」



青峰は、突然すぎるそれに動けない。


けれど痛みはこない。



その代わりに目の前に誰かが目の前に現れて、紅い血が、舞った。


「かず、なり…?」


それが、高尾だと認識するのに時間はそう、かからなかった。



「…和成!?」


今度ははっきりと名を呼ぶ。


倒れかけた高尾の腹に、魔物が爪を思い切り突き刺す。


「…げほっ…は、サンダー…ブレード…っ!!」


血を吐いた高尾が唱えた術により魔物は消滅した。
そのまま高尾は後ろにいた青峰に倒れ込む。


「…嘘、…だろ…」


自分の口から発せられた情けない声に青峰は怒りを覚えた。
そして理解する、


高尾が自分を敵の攻撃からまもってくれたのだと。


「ごほ、ッ…ひゅ、…げほっ」


急いで高尾を起こし、抱える。
手にべっとりと血が付いた。


「和成!オイっ和成!!」

「…ファースト…エイド…」


呼びかければ高尾の唇が動いた。けれどそれは、自分ではなく青峰の負った小さな傷へとかけられた治癒術。


「ば、…ッか!!!…絶対、助けるから、絶対ッ!!」


それを聞いた高尾はふわり、と笑って、意識を失った。
その身体を、傷に触らない程度に抱きしめた。



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