黒子のバスケ

□霧崎第一女子バスケ部の日常
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※ただの花古、古橋以外は男、古橋はマネ。


「古橋、まさか」


「…悪い」


練習試合が終わった後、5人は歩くよりバスで帰ろう、ということにして乗り込んだ。
のだが…


「古橋、横になれ」

「……」


同じクラスの瀬戸以外は知らなかったのだ、古橋の乗り物酔いの激しさを。
乗車2分で完璧に酔ってしまったようだ、まだ発車していないのに。
あ、いま発車した。

バスには人が乗っていなかったので好都合だが。



「いや、忘れてたっつーか半分寝てて」


瀬戸は古橋を連れて一番前に行こうとしたが古橋は立ち上がるのも既にきついらしく一番後ろの席に座り直し、古橋を寝せようとした。


「…せ…と、ありが、とう……」


だが、バスで寝るのも、とかなんとかでとりあえず瀬戸の肩に頭を乗せた。
瀬戸たちの前に座った原と山崎はからかうどころではなく古橋の顔色が悪いのでかなり心配しているようだ。

花宮は原達の逆側に一人座って本を読んでいたがちらちら後ろを見ていた。



「もしかして吐く?」

「いや、古橋は吐くより酔った状態が長く続くんだ」

「げーそっちの方がキツくない?」


吐いた方が楽になれるのではないか


「ぅ、…んっ…」


古橋が小さく呻く、そんなに遠くないバス停までだったのだが、不運なことに渋滞にひっかかった。


「古橋、次のバス停で降りよう、な?」

「…ああ、そうしてくれると…助かる…」


いつもは表情の少ない古橋だが、かなり気分が悪いのか眉を潜め、瀬戸の服を握ったまま目を閉じた。


「やばくね?顔色真っ青だし」

「バス停までが長いねー」

「まあ…渋滞だからな」


そんな話をしていても、バスはほどんと動かない。
古橋は停車していても駄目らしい。


「せと…っ…う、…」

「…吐きそうか?」


聞けばゆっくりと首を降る。そして瀬戸にすり、と頭をすり寄せた。
その行動に少し赤くなる瀬戸。その瀬戸を睨みつける花宮と原。山崎は赤くなっている。


「古橋、横になれ」


いつの間にか本を閉じていた花宮が近寄ってきて古橋に声をかける。
瞼を持ち上げた古橋を瀬戸がゆっくりと倒してやる。


「…ちょっと待ってろ、」


そういって花宮は運転手に何か話しかけに行った。


「…っは、……気持ち、悪…」


「…荷物もて、降りるぞ」

「へ?」

「運転手にはなしてみたら金はいらないから早く降りたほうがいい、だと」

「けどこの後どうすんだよ」

「…オレの家が近いからそこでいいなら」


原の言葉に山崎が返す。花宮は頷けば瀬戸の荷物を持ち、瀬戸に古橋を背負わせた。







「本当に…すまない」


山崎の家にて、古橋をベッドに寝かせる。そうすれば古橋が小さな声で謝った。


「…べーつに?古橋が悪いわけじゃないっしょ?」

「まぁ悪いとしたら乗る前に言わなかったことだな」

「ていうか、瀬戸がいえばよかったろ!」


原、瀬戸、山崎の声に少しだけ笑った古橋をみて花宮は目をそらした。


「じゃ、オレ、ザキの家探検するわ」

「すんなよ!!」

「古橋ーエロ本あったら教えるわ」

「おしえんなよ!!」


原は古橋の頭を撫でてからでていく。山崎は「オレの家だし気にすんな」と声をかけてから原を追いかけた。


「んじゃ、オレは帰るわ」

「瀬戸、ほんと、ありがとう」

「んー?また背負ってあげるから」


瀬戸はそう言い残していなくなる。
必然的に花宮と古橋が二人っきりになってしまった。


「…古橋、どうだ?」

「…?…少し…よくなった」

「顔色よくねぇけど?」

「……大丈夫だ」


古橋の言葉にふはっ、と笑えば顔を寄せて額に唇を落とした。
少し赤くなる古橋に花宮はまた笑った。


「…好きだぜ古橋」








やまなしおちなしいみなし。
意味があったとすれば古橋をいじめたかったのと花宮を嫉妬させたかった。
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