黒子のバスケ
□優しさに、溺れた
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「すまん諏佐…アカン、ちょっと抜けるわ…」
いつもと変わらぬ練習。
けれど違うのは昨日よりもかなり暑いこと。
「わかった、一人で大丈夫か?」
その激しい温度差についていけなかったらしい今吉の体調は朝から良くなかった。
だが、彼とて主将。部活をそう簡単に休むわけにはいかないのだ。
だが、朝から無理をしてきたためか酷くなった頭痛と吐き気に耐えられなくなり諏佐へ部活を任せて一人体育館をでた。
「う…、アカン……」
とりあえず部室で休もうと思い、ふらふらと向かうもくらくらと目眩が襲ってくる。
ああ、気持ち悪い。
ようやく部室にたどり着いて固いベンチに寝る気力もなくつっぷした。
「オイ、アンタなにしてんだこんなとこで」
聞きなれた低い声に顔をあげる、のは無理で顔を向ける。
そこにいたのは練習にでない生意気な後輩であり、想い人、片思いをしている相手。
「…なに、って………具合が良うない……っ、」
説明するのもキツい。
このまま死んでしまうのではなかろうか。
「あ?具合良くないのか?」
その問いに首を小さく縦に動かした。
「アホかアンタ、こんな所じゃなくて保健室行けよ」
「…む…りやて…」
「ンなに悪いのか…しょーがねぇな」
言葉とともにひょい、と抱き上げられる。
少し驚いたが、青峰の匂いが広がり安心して意識を手放した。
「っ…やば、おーい今吉サーン」
抱き上げた途端意識を失った今吉に少々焦ったが、こうしていてもどうしようもない。
「顔色悪っ、こんななら部活やんなよな…」
部室からでようとして気づく。いつも白い顔は青白くなっていた。
舌打ちして、その頬にに自分の唇をよせる。
「…いいよな、ね…寝てるし」
「…ん、…」
頬に当たる息が擽ったいのか小さな声と共に身じろぐ今吉。
思わず頬どころか体調のせいか色の悪い唇に自分の唇を重ねた。
「……運ぶか…」
今吉が起きる気配はなく、青峰はふ、と笑って部室を後にした。
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