黒子のバスケ

□その笑顔は反則だから
1ページ/2ページ

※ちょっと注意



古橋は表情が乏しい。


驚いたとき、集中しているとき、
それくらいの表情しかあまり見たことがない。



付き合ってる身とすれば、たまには照れたりしてほしいものなのだが、と原は思う。
だからといって無理強いはしないが。

これでも古橋が好きだ。
真面目に彼のことを好いている。


それに、たまにだけど二人でいるときいつもと違う表情をするときはあるのだ。



「…原」

「んー?っておお…どしたん?」


古橋の家でソファに座りサッカーを見ていた原に、珍しく話しかけてくる古橋。
なんだよ、そう言おうとしたとき後ろから抱きしめられた。
大丈夫かコイツ、熱でもあるんじゃね。


「古橋くーん?」

「…ん」

「ん、じゃないしー、言ってくんなきゃわかんねぇよ?」


古橋の匂い。うん、悪い気はしないけど。
なにも言わないで腕の力を強めてくる古橋。
抱きつかれてるとはいえ、ソファに座っているので肩と首中心なのだ。息が苦しいんだけどな。


「…古橋、マジでどうした?」

「原」

「うん、なに?」


名前を呼ぶ声が微かに震えている。


「原」

「なに?」

「オレのこと好きか?」

「…うん」

「嘘つくなよ」


うーん古橋が考えてることがわかってきた。
今、はっきり言ってやらないと駄目な時だ。


「ばか、ちゃんと好きだよ」

「…本当に?」

「うん。好き」


そういって首を回し古橋の額に口付けする。
古橋、って名前を呼べば首に頭を擦り寄せてきた。猫か。


「原、オレお前のこと好き」

「知ってるよ、古橋」

「けど、……オレはあんま話さないしつまんないだろ?」


古橋、本当はお前、それが一番聞きたかったんでしょ?


「…っ不安…なんだ、オレは…お前に嫌われそうで…」

「それは絶対ないから大丈夫だけど」

「…本当に?」


ほんと、って言ったらオレの首もとでふ、と笑ったような吐息。
え、今、古橋…笑った?


「…古橋、こっちきて」


そう言えば古橋は素直にオレの前に来る。
ちょっとだけ、赤い頬に目を奪われた。


「古橋、好き」

「…ああオレも…っ!?」



自分から好きとか言っておいて、相手の言葉を待たずにその体をソファに押し倒した。


「…は、ら?」


「んー、好きだから」


「なに、……ひぁっ」



古橋の首に顔をうずめてからその白い首筋に舌を這わせる。抵抗はしているものの全く本気ではない。
噛みつけば、小さく声を漏らした。
というかなめるだけで古橋の体がぴくりとはねていた。


「原っ…ぁ、…ひゃうっ…か……かず、やぁっ…」

「っ!!」


甘い声に顔を上げれば、真っ赤になった古橋の顔。
こんな表情始めてみた、と驚いていると古橋が見上げてくる。


「い…いきなり、は…」

「んー可愛いから無理ー」


ニヤ、って笑って見せたら古橋がまた赤くなる。


「原、」

「んー?誰それー」

「かっ…一哉」

「なーに?康次郎」


ばか、とか文句言われんだろうな、と少し身構えたが予想に反して古橋は静かに息を吐き出した。しかも…




「大好き」



とか目を細めて始めてみる表情で心底嬉しそうに、幸せそうに言うから、弧を描く唇をもったいないけど塞いでやった。



「…オレもだけどね」


そう言ってやれば、古橋はまた薄くだけど笑った。



end


(その笑顔はどこかたどたどしくて、けど幸せそうで)

(ああその笑顔は反則だから!!)



オマケnext→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ