短編&ふざけた話

□ディモルフォセカ
1ページ/2ページ



事件は皆大好き4時間授業の日の昼休みに起きた。



4時間目の鬼の長ったらしい古文の授業が終わり
千鶴や総司、平助達と
机をくっつけてギャーギャー騒ぎながら
お弁当を食べていると不意に
メロンパンのかすを口の端につけた総司が
口を開いた。




沖「ねえ、名前ちゃん?」

 『ん〜何?』

沖「名前ちゃんの好きな人って誰?」

 『は?』

いきなりの質問にお箸から大好きな
だし巻きがポロっと落ちる―――前に
総司が指でつまんで食べた。


平「お、お、お前好きな人いんのかよ?!」

どもりまくる平助をみてさらに慌てた
自分の顔に熱が集まるのが嫌というほど分かる。


沖「顔が赤くなったってことは…図星かな?」

千「そうだったの…?!」


 『イ、イナイヨ〜ソンナヒト』

沖「嘘ばっかり」

千「名前ちゃん…。
  教えてくれないの…?」


千鶴!そんな可愛いうるうるした
目で私を見るなァァァァァァ!





千鶴の可愛さに負けた私は
渋々口を開いた。

平「で、結局誰なんだよ?」

 『……ディモルフォセカ』


平「で、でぃ、も……何て?」


 『ディモルフォセカ!』




そう言うと千鶴は納得したように
ぽん!と手のひらを叩いた。

総司は全く分からないという素振りを見せたが
すぐに意地悪な笑みを口元に浮かべた。


沖「平助ー、名前ちゃんの好きな人ってさ―――――――」

 『だぁぁぁぁぁっ!』


総司がその続きを言う事を阻止して
平助の方を向く。


 『と、とにかく!分からないなら良い!』

そう言ってせっかくのお弁当もそのままに
教室から逃亡した。





沖「あーあ、いなくなっちゃった」

千「総司君、いくらなんでもあれは…」

事情が理解できている2人はそんな話をしていたが
平助はディモルフォセカとは何なのかと
考え込むばかりだった。





ついには帰路についても考え込んだ。
名前は鉢合わせしない様に
どこかで時間を潰しているらしく久しぶりの
3人での帰宅となった。


千「平助君、大丈夫?」

平「大丈夫…だけど、全然分かんねえ…」

沖「ここまで分かんないと名前ちゃんも可哀想だよね」







よほど可哀想に見えたのだろう、千鶴が平助に
小さな声で耳打ちした。



千「ディモルフォセカは花の名前で
  花言葉が……名前ちゃんが好きな人…。ぴったり当てはまる人だから分かると思う」



そう千鶴が言うなり平助の顔がパアッと
明るくなった。

平「ありがとな、千鶴!
  オレ、急いで帰るわ!」

そう言って走り出した平助を見ながら
総司が呟く。





沖「いいの?千鶴ちゃん
  大好きな平助とられちゃうよ?」

千「いいんです!だって名前ちゃんは
  親友だから」

にこっと笑う千鶴に総司はふうん、と言って
歩きだした。


家についた平助はすぐに
ネットで「ディモルフォセカ」と検索した。

一番上のサイトを開き
花言葉を確認する。













―――いつも元気な貴方―――


平助はすぐ家から飛び出した。
向かう先はただ一つ


―――名前の家に。












NEXT あとがきという名の言い訳
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ