執行人
□弐回目
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【愛織視点】
ピッピッという無機質な音で私は目を覚ました。
「…ここは…?ッ」
寝ていたらしいベッドから身体を起こそうとすると身体じゅうに激痛がはしり、ベッドに逆戻りしてしまった。
しょうがないのでベッドの上から周りを見てみるとどうやら此処は私の部屋のようだ。しかしいつもと違いベッドの周辺には所せましと医療器具が並べてあり、私の身体にも点滴やら包帯やらが纏わり付いていた。
しばらく痛みに悶えていると、部屋に誰かが近づいてくる音がした。多分私を此処まで運んだ張本人…
「…潤ちゃん、おはようです…にゅ!」
「…愛織、目覚ましたのか。」
お蔭様でねと私が苦笑いで返すと潤ちゃんはそっと微笑みながら心配したと抱きしめてきた。(抱きしめる瞬間に潤ちゃんが泣いていたような気がしたが私はあえて何も言わなかった。)
今だけはこの忌むべきであろう身体に感謝したい。
「…私は、」
そこまで言ったところで私を潤ちゃんが止めた。
「何も言わなくて良い。もうわかってっから…。」
だからそんな泣きそうな顔すんな。
そう言われた瞬間、私は涙腺が崩壊したかのように涙がこぼれだした。
潤ちゃんがおろおろしながらこっちをみているが、ごめんね、今は構ってられない。
悲しかった、悔しかった、寂しかった
妬ましかった。
信じてくれなかったことが、嘘を見抜けなかった馬鹿さ加減に、ううん。
それより何より
潤ちゃんを、裏世界の皆を泣かせたことが…
「赦せない。」
…復讐してやる。
この【人類最愛】零崎愛織に手をかけたことを後悔させてあげる。
潤ちゃんのほうを見ると私の思考を読んだのか不敵な笑みを浮かべていた。
大丈夫、何も怖くない。だって私には裏世界のみんながついてるのだもの。
何も心配ない。
「あーぁ、王道乙って感じだなぁ」
「?潤ちゃんなんか言いました?…にょ」
「んぁ?別になんも言ってないけど」
…気のせいかな?