オリジナルBL小説

□reunion 2
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「…」
「…えと、覚えてる?」
「え…。いや…。」
嘘を吐いた。本当は覚えてるってほどじゃないくらい…。
「ひどいなぁ。ほら、中学3年のとき同じクラスだったー…。」

「椎名。ー椎名潤。」

「…その、ごめん。…覚えてない。」
僕は本当に嘘つきでその上、天邪鬼だ。
普通だったら、覚えてるって言うかもだけど
もう…。僕は遅いから。そんなこと出来ないから。
覚えてないなんて、言ったから諦めるだろうー。
と、思っていたら…なんかケータイいじってるんですけど。
心なしに笑ってるし一体なにするんだろう。
そして、急に顔を上げ僕はビクッとなる。
軽く微笑み椎名は言った。

「じゃあ、さ。成田。メアド教えてよ。」

「メアド?」
何でここでメアドが出てくるんだろう…?
「今思えば、全然喋ったことなかったよね?
だから、覚えてないって言うなら今からメアドとか教えて貰って友達になりたいなー。とか思ってたんだけど…ダメ?」
幼い頃から、僕は「断る」って言うことを知らないっていうか出来ないっていうのか
本当は嫌なくせに受け入れてしまう。つまり、お人好しということ。
もちろん、そんなこと出来ないからー。
「いいよ。」
と、言った。
「赤外線でいい?」
「あっ…待ってケータイ出すから。」
僕は、整理されていない汚いカバンの中からやっとでケータイを見つけたが赤外線のやり方がわからなかった。
「ごめん。…赤外線のやり方わからないんだ。」
今時、知らないと恥ずかしいよな…。
と、思いつつ正直に言った。
「貸して。」
ケータイを椎名に言った渡すと余裕で操作をする。
何故か僕は、椎名の手にいつの間にか釘ずけになっていた。
とても、綺麗だな。と、
「はい。終わったよ。…成田?」
僕は、椎名の声にはっとする。
「あっ…ありがとう。」
「いいえ。…あのさ。ひまなときとかあったら遊ばない?」
「あ…ああ。…じゃあね。」
「うん。またね。」
…−またね…か。また次も会うことがあるのだろうか。2年間終止符をうち忘れかけてきた思いをまた一から始めるのか?
…いいや。何をやってるんだろう。
僕は。 やっと、今の生活に慣れてきたというのに、 前の生活なんかに戻りたくない。
僕は、強くそう思ったのだ。

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