嘘吐き

□take it easy 第3話
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どうしよう…。

俺は変態に成り下がってしまったのか!?



柏木の家の扉にぴったりと耳をくっつけてほんの僅かな物音だって聞き逃すまいとしている。


近隣の住人に見られてしまったらどう言い訳しよう…。



生真面目でデキル男の「榊 秋夜」とはさよならしなければならないだろう。




扉の前でうなだれていると
バタン!と中で大きな音がした。


なんだなんだ!?









「ちょっ…、と重いってば、やめてよ!」


「やだよ、やめるわけないでしょ?」



「…あ、痛いよ…

ねぇ、もうちょっと優しくして?」


「そんなこと言ってたらいつまで経ってもできませんよ。」

「や、やだ!やめて!」











ダメだーーーーーーーー!



もう聞いてらんねー!




柏木のピンチだ!



俺は勢いでチャイムを鳴らした。






『♪ピンポーン』





「誰か来たよ。」

「えー、誰だよこんな時間にぃ…」






「景くん、こんな時間にいきなりドア開けちゃ危ないよ!」


「大丈夫ですよー、俺は強いんだあ!

えへへ、」



「えーっ変な人だったらどうするのさー!」




ガチャ…









「!?」









「榊さん!?」






「あ、宮脇来てたんだ。こんばんは。」




しれっとした態度をとる俺。


「何のようですか?榊さん。」


くっついてくる宮脇越しに
不安げなわんこみたいな顔をしている柏木を見た。



「いや、ちょっとな。
あ、宮脇には用ないよ。」


「ひどーい!」



「上がっていい?」


「どうぞー。」

にこにこ答える宮脇に"お前が言うなよ!"なんてツッコンで俺は用もないのに柏木の部屋にお邪魔した。





リビングにたどり着いても宮脇は俺にくっついたまま。


柏木はというと眠そうに壁に凭れていた。


「ねぇねぇ!榊さん!
ちょっと足伸ばして座ってください。」

「え?」


「いいから、いいから。」


宮脇だけは元気で俺に要求までしてくる。

とりあえず酔っぱらいの彼の要求に従ういいやつな俺。



「はい。」



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