嘘吐き

□-other side-
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体育のサボりすぎで俺ら二人は、単位と引き替えに毎日放課後のグラウンド整備をすることになったのだ。


とはいえ、俺には彼女がいるわけで、
当然放課後のスケジュールは、
彼女が占領していることもあるのだ。


だからごめんね将くん。
といった具合に将一人にグラウンド整備を任せ
俺は所謂おデートに出かけたわけだ。







彼女はかわいい。







世間に羨ましがられるほどの美人だ。
スタイルもなかなかいい。
文句なしの彼女である。


そんな彼女に、完全なる健全男子の俺が欲情しないわけがなく、

本能のままに彼女を欲するのが当たり前だったのだけれど…























その日は、行為自体がひどく虚しく思えて欲が崩れ落ちた。




彼女の影にちらつくチビが俺の脳を占有していたのだ。


俺の中で何かしらの変化が起こったのだろうか。



その時はあまり気にもとめずにいた。














しかし翌日、将の態度を見て俺はタブーを受け入れざるを得なくなった。

将は怒っている。


一つめの理由は明解。
一人でグラウンド整備をさせられたこと。

そしてもう一つは…
難解だ。

俺の思い過ごしかもしれない。

しかし、将は確かに寂しそうだった。


―なあ将、寂しかった?




彼の態度に思考を弄ばれているうちになぜだかものすごく罪悪感を感じた。









ふてくされる将を見て悟った。







気づかない方がよかった。




なにより安全だ。健全だ。秩序的だ。




こいつは俺のことが…―



それと同時に俺はタブーを受け入れる。


倫理よ、マジョリティよ、さようなら。






















俺は、将が好きなんだ。
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