嘘吐き

□-other side-
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そいつは青空の下、いつも素っ気なかった。







そしていつも体育をサボっていた。








俺が体育を屋上でサボるのは習慣で、
まるで本能に予めプログラミングされているかのように
当然の如く体育の時間はいつもそうしていた。








そして、同じ本能を持つ男(チビ)がもう一人。




「またサボりかよ。
単位落とすぞ。」

その男(チビ)は自分のことを棚に上げて、
いつも悪態をついてくる。






いやはや全く態度が悪い。






そのくせ俺のことは「佐伯」と名字で呼んでくるよそよそしさ。



ちなみに俺の名前は佐伯涼で、そのチビは佐伯将だ。


ややこしいので

「涼って呼べよ。」
と強請。




それから素直に「涼」と呼んでくるその男。




素直なところもあるのだから、なかなかかわいい。



そしてこの男、実は素直なとこばかりか、なんとお顔までかわいい。

猫のような目は細く長い睫に縁取られ、不機嫌な唇はぽってりと形を整えている。

白い肌に色素の薄い髪、華奢な体。




彼は本当に同じ男なのだろうか、と不思議に思うこともしばしば。


それ故、からかいたくなることもしばしば。


「将まじで女みてえ。」

そう言って抱きしめたその男から香る妙に甘ったるい香りが
触れたいという気持ちを芽生えさせた。
そして抑えきれないその欲を冗談の振りして将に求めたことは秘密。




抱きしめたり
髪を弄んだり



それは俺の特権だろ?将くん。





だって俺ら同じサボタージュ仲間。


進化。



グラウンド整備隊じゃないか。
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