嘘吐き
□夜空に捧ぐ
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その晩、新着メールを何度問い合わせたか分からない。
でも、その行為にも疲れて、何より馬鹿らしくて虚しくなって、苦しさを拭えぬまま俺は睡魔にさらわれた。
「あっちーぃ…」
今何時だと思い枕元の携帯を開くと、そこには新着メールありの表示。
時刻を確認するより先にメール画面を開いた。
受信ボックスの最上段には『佐伯涼』の文字。
『今から、市立図書館行くから暇だったら来い。』
あ、そうだ。
今何時だよ、
13:38
表示された時刻に焦りを感じた。
涼からのメールが届いたのは09:59。
涼まだいるかなー
メールアドレスは知っていても番号を知らない。
メールを送って、返信を待つ時間すらもどかしい。
兎に角はやく向かわなければ。
ダサいチャリに乗って全速力で飛ばした。
いくら飛ばしたって家から市立図書館まで15分はかかる。
一生懸命自転車をこぐ自分を意識しないようにするのにいっぱいいっぱいだ。
恥ずかしくて格好悪くて情けない。
そんな気持ちを必死で振り切って、
図書館に着いたやいなや自転車を乗り捨てるようにして走り出した。
館内に入り、読書スペースを目指した。
きっと涼はそこで勉強してる。
本棚に挟まれたその大きな机の周りに涼の姿はなかった。
遅かった―…
軋む心をどうにか保って引き返した。
泣きそうになる自分が情けない。
俺、こんなに泣き虫だったっけ?
誰にも気づかれないように俺は俯いた。