嘘吐き
□夕空に沈む
1ページ/6ページ
"来週またいちゃいちゃしような"
なんて言っといて、いねぇじゃん。
また俺は5限の体育をサボっている。
勿論、屋上で。
別にあいつがいることを期待していたわけではない。
ただの冗談だってことくらい分かってるし、あいつがいるから体育をサボっているわけでもない。
でも、ムカつくんだよ。俺は。
「なぁ、昨日なんで屋上来なかったの?」
唐突に、でも平静に訊ねた。
俺は教室では滅多に自分から涼に話しかけない。
「なに?寂しかった?」
と言ってはぐらかすように笑う君。
やっぱりムカつくよ。
「別に、」
君がどうしようと、何をしようと、本来俺にとってはどうでもいいことなのだ。
「彼女がさ、どうしても学校抜け出して会いたいって言うから。」
ああ、そういうことか。
「ふうん。優しいねぇ、涼くんは。」
「まあな。
将みたいに困ったちゃんじゃねぇし。」
また笑う。
馬鹿にしてんじゃねえよ。
別にどうだっていいんだ。
だって俺ら、日焼けが嫌いなただのサボタージュ仲間だろ?
それ以外の何でもない。
そう、それ以外………