青天の霹靂
□青天の霹靂
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その日、甘味処から帰った夜。
わたしは持ってきたスクールバックから、赤いスケジュール帳を取り出した。
「、ん?」
そして、砥の粉で刀を磨く高允に問いかけた。
「あの、高允さん、」
「何だ。」
「今日 何日ですか?」
「知らねぇ。」
はー…とため息をついて、日にちを思い出した。
ここに来たのは昨日。
昨日は何日だったろう。
(そうだ、ノート!)
実仁はその日の授業ノートを開いた。
右上の欄には適当な字で、
『9月19日』
と書いてあった。
(てことは今日は20日 か、)
日にちを確認したところで、実仁は先ほど取り出したスケジュール帳に、シャープペンで何やら書き出した。
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9月19日(水)
○青天の霹靂
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9月20日(木)
○甘味処
・今日はお藤さんとお友達に
なった。
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「なんだそりゃ、」
覗き込んでいた高允が問いかけてきた。
「日記、つけようと思って、」
「それは分かるけどよ、」
「あ、これは文字って言って…、」
「んなこと分かってら。」
「え、?」
「その“青天の霹靂”って何だよ。」
「わたしがここに来た日のことです。」
「…ん、?」
高允は、訳わかんねえと言い残してまた砥の粉で刀を研ぎだした。
六畳ほどの部屋に二人は寛いでいた。
灯りは小さい行灯ふたつでとっている。
実仁はその小さい灯りで、日記にひとつ付け足した。
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9月19日(水)
○青天の霹靂
・高允さんと会った。
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9月20日(木)
○甘味処
・今日はお藤さんとお友達に
なった。
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(高允さんと 会った。)
“逢った”の方がいいかな、なんて思ったが、字が分からないので止めておいた。
高允さんは、追われているときに
たまたま居たわたしを
連れてきたけれど、
わたしはここに居ていいのかな。
当たり前のように
高允さんの横にいる。
これっておかしくないのかな、?
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