青天の霹靂
□青天の霹靂
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橋の向こうは、古い店と見られる家屋が建ち並ぶ、街だった。
実仁と孝允は、街の中を駆けてゆく。
実仁は振り返って街並みを見ながら走る。
街は小さな灯りが沢山集まって程良く明るい。
(こんな古い街並み、普通ないよね、)
しかも着物を着た人や、髷を結った人が歩いている。
その人たちは、走って逃げる実仁たちを珍しそうな目で見る。
それを実仁も珍しそうに見た。
(ていうか、)
今自分の手を強く握って走るこのひとも誰なんだろうと思った。
(ここはどこ、いつなんだろう。)
実仁は何となく此処が現代では無いような気がしていた。
セットにしてはリアルすぎるし、この通行人達も役者なんかじゃない、何処から見ても民間人なのだから。
タタタタタタタ…
「「待てー!!」」
まだ男達は追ってくる。
街の中心部はもう過ぎたみたいで、家屋が減ってきて辺りは暗くなってゆく。
「はぁっはあ、…」
走る距離が延びるのに比例して、実仁の呼吸は荒くなっていた。