青天の霹靂
□青天の霹靂
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(――…?)
目を開けて一番先に見えたのは水。
落ちたはずの実仁は、川の真ん中に立っていた。
手にはしっかりと鞄が握られており、横には日本史の教科書が浮かんでいる。
そして顔を上げた次に見えたものは、
「どこ、ここ…、」
見たこともない、古い木製の橋。
先程までコンクリートの壁だったはずの堤防には、草が生い茂っている。
河川敷には柳の木と木造の建物が建ち並んでおり、灯りと声が漏れる。
空にはうっすらと白い月。
まるで時代劇にでも出てくるような、
(歴史の教科書みたい、)
今は古くなってしまった風景だった。
[つづく]
(060504)
ののこ
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