J禁小説
□MY ANGEL,YOUR ANGEL
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俺は自分の部屋の白くて何もない天井を見上げている。ベッドからは洗い立てのせっけんの匂いがして眠気を誘う。
けど,今はそれよりも怒りが勝っているみたい。俺の目はイカレてんのかただ一点を見つめたまんまだ。
「和也……」
自分でも信じられないほど頼りなさそう声が静かな部屋に響く。
結局あのあと和也と喋ることは出来なかった。てか,喋りたくなかった。いくら俺が落ちこぼれで馬鹿でワルでどーしようも無いトンチンカンだからって,あんなガラッと態度変えられて平気な訳ない。
山Pの後ろに隠れるように立つ和也に俺は軽い軽蔑に似た感情が芽生えた。そんな自分が信じられなくて会話そっちのけで逃げるように家まで帰ってきたって訳υ笑
俺はベッドの横にある窓に目線を移す。青と緑の淡いストライプのカーテンで閉じられたそこは,今では開けられる事がない。
俺はなんとなくカーテンに手を延ばす。シャーっと勢い良く開け放ったせいでホコリが舞い,キラキラと光り輝いて見える。
錆びた窓の鍵を開け外の空気を入れると部屋中の陰気なオーラが吹き飛ばされるような気がする。
俺は窓のサッシに座り,90cm向こうにある窓を見つめる。
手を延ばせば届いていたはずなのに……今ではすっごく遠くに感じる。
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その窓は天国への入り口だった。あの時は子どもだったからそう思っていたのかもしれない。
隣に和也が引っ越して来た日……俺は何気無くその窓を開けた。偶然,向こうもコッチを見ていた。
運命だって思った。天使って本当に居るんだ……って。
その日からこの窓は俺と和也を繋ぐ道になった。小学校が終わり部屋に荷物を置くと窓の縁に足を掛け和也の部屋に行く。そこでゲームしたり宿題したりするのが日課になっていた。
しかし,いつの間にか行き来はなくなり向かい合った窓にはお互い厚いカーテンを吊すようになる。それでも中3まではまだ淡い期待を持っていた俺は窓のサッシに座って目の前の窓が開くことを信じた。
でも……そのうち俺は待つのを止め,窓には封印のようにカーテンをするようになってしまった。