J禁小説
□俺の人種論【☆】
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『そ,そうなの?』
「なんやごめんυ」
『なんで錦戸が謝んのさ?俺が勝手に会いに来ただけだし♪……顔も見れたから帰るよ☆』
わざわざ会いに来てくれたんに……
俺は申し訳なさからか胸がぎゅうーっとなる。その瞬間,慶ちゃんの細い手首を掴んでた。
『……なに?』
「……この後,仕事あるん?」
『いゃ……今日はもうないけど?』
「そやったら待っててくれへん?」
『え?』
「収録3時間くらいかかるけど待っててくれへんかな?」
慶ちゃんの瞳が見開かれて驚いてるって感じ。
そらそやわυいきなり言われたら誰だってビックリする。何より,慶ちゃんに声かけた俺が1番ビックリしてるυ笑
『いいよ★』
「………へ?」
『収録終わるまで待っててやるよ♪そのかわり飯おごってね?』
俺が握っていた手首がほどけて逆に俺の手首を掴む。細くて長い指先が食い込むとピリピリと体に電気が走るみたいに震えた。
―――――――――――
慶ちゃんは魔法使いなのかもしれへん。
基本喋るのが苦手で笑いなんか取られへん俺が収録でめっちゃたくさんの笑いの花火を打ち上げたなんて……
彼が待っててくれる思うだけで仕事なんか苦にもならへん。
早く会いたい,早く声を聞きたい,早く笑顔が見たい。
それだけが俺を動かす力になる。
―――――――――――
『ん♪んまいッ!!』
慶ちゃんはズッキーニと伊勢海老のチーズグラタンを美味そうに食べる。
薄暗い店内でやわらかいオレンジのランプで照らされた慶ちゃんは普段のほわほわした甘い雰囲気より多少色気を含んでみえる。
慶ちゃんがする小さな仕草全てに目がいく。
俺はもう自分の気持ちに気付いてる。
いや……正確には気付いてるけど気付いてないフリをしてる。
今までに居なかったタイプの未知の人種を認めるんが怖いんかもしれへん。
それと……今の慶ちゃんとの関係が壊れんのが。
だから鈍感なフリをする。
なんとも演技派やろ?笑