僕のヒーローアカデミア小説

□紅蓮ノ恋情4
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轟の自宅へ招かれた翌日のこと。

「緑谷」

昨日と同じよう、放課後になって轟が声を掛けてきた。ただ昨日とは違い不安げな表情をしている。それはそうだ。昨日、あんなことをしてしまったのだから・・・。

「轟くん・・・」

出久の方も気まずくて轟の顔を直視出来ず肩の辺りへ視線を向ける。それに気付いたのか轟は肩を微かに落とした。表情や仕草の変化に乏しく見える轟だが、以外と感情を表に出してくる。昨日だって・・・。昨日の出来事を思い出しかけ、出久は慌てて記憶を打ち消す。そうして出久が一人悶々としていると轟が話を切り出した。

「その、今日も家に来ないか?もっとお前と話がしたい」

ほんの少し歯切れが悪いのは轟にも思うところがあるからだろう。それでも誘ってくるのは、どうしてか・・・。何となく理由は分かっているが分からないフリをする。まだ轟に対する自分の気持ちが分かっていないから・・・。

「今日はやめておくよ。課題も出てるし・・・」

少し悩んで出久は断った。轟には申し訳ないが今は轟と向き合うだけの勇気はない。だから断りを入れたのに轟は引き下がってくれない。

「課題なら家に来てやればいい。どうせ同じ課題なんだ。二人でやったほうが早く終わるだろ?」

「それは、そうだけど・・・」

それも正論で詰め寄られると返す言葉に困る。だって轟は自分を好きだと言って迫ってくるから・・・。轟の気持ちにどう応えて良いのか分からない以上、変に気を持たせるのは残酷な気がした。だから少しだけ距離を置いて冷静に考えようと思っているのに轟はそんな暇さえ与えてくれない。

「・・・俺と一緒は嫌か?」

強引に来たかと思えば悲しそうな顔で足を止める。計算してではなく素でそういうコトをしてくる轟は狡い。これでは拒むに拒めないじゃないか。

「そんなこと、ないよ・・・」

「なら、来てくれ・・・。もっとお前と一緒にいたい・・・」

困り果てて言葉を濁していると轟は懇願にも似た声色で訴えてくる。こうなると、もう拒絶など出来なくて出久は了承してしまった。





部屋の中に粘着質な濡れた音が響く。

どうして、こうなってしまったのか・・・。

理由はよく分からないが原因は間違いなく自分にある。昨日、あんな事があったのに悲しそうな顔をする轟を拒みきれずノコノコ自宅まで来てしまった自分が悪いのだ。

轟は、言っていた通りちゃんと課題をしてくれた。しっかり約束を守ってくれた上でまた着物を着て欲しいと訴えてきたのだ。昨日とは違う、けれど深紅に染められ裾の辺りにカスミ草のような柄が散りばめられた美しい着物だった。

昨日の事を思い出してしまうのが嫌で控えめに断ると轟は酷く悲しそうな顔をして俯いた。そこで心を鬼にして自分の意志を突き通せば良かったのだが出来なかった。

しょんぼり項垂れる轟が迷子になった子供のようで可哀想に思えた。だから着るだけならと昨日と同じよう下着だけを残した裸の体に着物を纏った。着物を着ると轟は嬉しそうに笑って帯を締めてくれた。

これまた昨日と同じく腹の辺りで蝶結びにされ「またこの結びかた?」と笑った。それに轟も笑ってくれたから安心してしまったのだ。今日は大丈夫だと・・・。けど、甘かった。ふとした瞬間、真顔になった轟に抱き締められ出久は自分の失態に気が付いた。



なぜ、気を許した?

昨日の今日だぞ?

同じ過ちを繰り返すなんて有り得ないだろ?



頭の中で自分の叱咤する声が聞こえる。




本当にバカだ。もっと学習しろよ。




自分に言い聞かせるも既に手遅れだ。それでも轟の腕から逃げ出そうと試みたがダメだった。

藻掻いて体を反転させた所で背後から覆い被さるよう床に倒されてしまう。嫌だと暴れると好きだと囁かれ着物の合わせから手を差し込まれた。

片手は乳首を、もう一方は下着の中に収まった性器を、それぞれ捕らえて揉みしだく。決して手馴れた感じはしないが一生懸命快楽を生み出そうとしていることが伝わってくる。

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