中編
□06
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「……ぁ………ゎ」
「……ゃ……ぇ…」
微かに声が聞こえて目を覚ます。
そしてまわりの状況を確認したとき、僕は舌打ちをしたくなった。
逃げたとはいえ、所詮は子供の足。
大人たちが二人を捜して近くまで来ていたのだ。
今は木の上にいるし、簡単には見付からないだろう。しかし、それも時間の問題。
見つかる前に、と僕は隣で眠る少女をなるべく音をたてないように起こす。
「起きて……起きて……」
「っ……ぅ………」
「追手が来たんだ」
「!!」
"追手"の言葉に反応した少女は目を覚ます。
「隙を見てここから逃げるんだ」
辺りからは物音は聞こえない。
目覚めた時に聞こえた声も遠ざかっていた。
「今のうちに!!」
素早く音を立て無いように木から降りて僕は君の手をひいて走った。
だけど世の中そんなにうまくいく訳はなくて…………
「居たぞ!!」
「「っ!」」
僕たちは捕まってしまった。